お寺でポン!REBORN 公演情報 劇団娯楽天国「お寺でポン!REBORN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     お寺でポンというし喜劇だと思っていたから狸が出てくるのかと思いきや、笑わせてはくれるが存外シリアスで、中々に人生の深みを描いた作品であった。

    ネタバレBOX

    寺の名が”ほうかいざんきょうらくいんてんぷくじ”というのだが、どんな漢字を書くか分かるだろうか? 正解はネタバレに記すが“ほうかいざん”だけは舞台美術で描かれているので舞台を観た人は間違うまい。が、崩壊山とも聞こえる。従って他も推して知るべし、で想像してみてからネタバレに行って欲しい。
     非常にしっかり舞台も作り込まれていて寺の雰囲気が良く出ており、坊さん役は皆坊主頭にしている気合の入れ様も評価されるべきだろう。驚くのはこればかりではない。「おにゃんこ」というグループが歌ったという「セーラー服を脱がさないで」という歌に合わせて坊さん役と女子出演者が踊るのである。これは実際見ものであった! このような結構派手はパフォーマンスが何か所か取り入れられて楽しませてくれる他、生きる意味も分からないような仕事をあくせくやっているサラリーマンの深い脱力感や絶望が描かれたりと内容も深浅取り混ぜて幅広い。
     一方、普段極めて高貴と見られている人物が、実は結構なクワセモノで、そう見えていたのは単にエクスキューズが上手いのと、それが法理に恰も適った行いであるかのように見せかけていただけだったとの顛末も描かれていたりと、神も仏もあるものか!? と嘆きを入れたくなるような展開の中で、一種の人間哲学の如き落としどころを檀家総代であるシメ婆さんに語らせる件りなど恰も観音の慈悲の如き冥見。
     未完成な人間だからこそ、他人も己も等しく笑って暮らせる世が良い、とこれは立派な悟りの境地と言えよう。掛かるが故にシメは己の勤めを果たして旅立ったのであり、真面目だが、それ故に己にも他人にも厳しかった法名オモチン。出家修行応募の縁で法開山竟楽院天福寺に来、この法名を得たオモダカが還俗することにも繋がった訳である。

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    2017/12/05 01:39

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