棄てられし者の幻想庭園 公演情報 中二病演劇集団Schwarz Welt「棄てられし者の幻想庭園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

      チュウニ病という言葉がどこからどのように出て来たのか、自分は良く知らない。

    ネタバレBOX

    その定義も知らない。だが、今作がそのチュウニ病と言う単語のコンセプトによって創られているのであれば、それは草莽と近かろう。現代日本では絶滅した精神である。結果、世の中は下司ばかりになり、下司が大手を振って歩いている。これも思考する頭脳と恥を知る心を失い、金と金に繋がる効率だけを求めてひた走り、より根本的で大切なもの・ことを切り捨てて恥じない厚顔無恥と無思考の為せる業だ。
     そんなアホなポピュリズムとエポケーの時代に物申し、正鵠を射ている為にこそ、排斥の憂き目に遭っているのが、チュウニ病と名指される精神活動なのではないか? だとすれば、そのような精神活動はより活発にして誇るべきであり、断じて照れたり、自嘲して見せるべきもの・ことでもない。
     但し、より高き者は、憐みをも持つべきではある。あらゆる生物に於いて、各個体はその能力に差を持つ、優れた者は、生得的能力によって他を凌ぎやすいのである。但し、例えば先天的に有利な者であっても、努力を怠るとか、他のそれほど先天的能力に恵まれない者が努力し続けることによって生得的に勝る者を追い抜くことが起こるし、起こり得ることを実際に目の当たりにしてきた者は多かろう。それが現実の世の中である。
     今作が描いているのは、実際の世の中で理不尽な死を遂げた者が、その理不尽を糺そうと、己を常に陰に置きながら、現実社会で起きる様々な理不尽を少しでも減らし、何時の日か、人々が理不尽な思いをしないでも済むような世界へ向けて、一つ一つの理不尽を清算してゆくことである。表現形態は結構擬古典的でちょっとゴシックロマン的な調子を感じる人もいるかも知れないが、寧ろ、ギリシャ・ローマ的、キリスト教神秘主義的な要素が多い。例えば、ミッションのコードネームの付け方にしてもラビリンスは、無論ミノタウルスやアリアドネの糸を想起させるし、フェニックスとは、ポイニクスを指しギリシャにもその名を知られたエチオピア生まれの霊鳥、更に666の数字はキリスト教神秘主義で聖なる数とされている。神が6日で世界を創造したこと、その約数、1・2・3は足しても掛けても6になること、逆に2で割り3で割ると物事の基本単位である1が生まれること、引くと、∞を回帰する零という有とは別次元の概念を生むことなどから聖なる数とされたのである。オーメンで主人公の誕生日が6月6日6時とされるのも、サタントリスメジストはこの時に生まれるとされるからである。
     まあ、若い人々は、ゲームやアニメでこういったギリシャ・ローマ由来、或いはキリスト教由来の知識を援用したキャラ作りやコンセプトから、ある程度、今作のそれらをイメージできようし、我々のような年代は、ギリシャ・ローマからキリスト教、ペルシャ、ケルト神話、アニミズム研究を含む民俗学、クルアーンなどは読んでいて当たり前なので簡単に類推できよう。お勧めである。

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    2017/11/18 03:53

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