満足度★★★★★
笑い的要素0、ファンタジー要素0、ワクワク感0、楽しさ要素0の、超シリアスで見ているだけでこっちの心がやられそうな本当に辛い内容でしたが、いじめの問題に直面している人にもそうでない人にも是非見て何かを感じてほしい…とにかくそんな舞台で、これまでの観劇人生(数えるほどしかありませんが)で、一番衝撃を受けた舞台でした。
リアルな脚本もさることながら俳優の演技力も抜群で、ついつい感情移入してしまい、私も含め多くの観客の方が途中からすすり泣いていました。特に、いじめられて死にたいという気持ちを徐々に共有していく二人を全身全霊で演じていた二人の俳優さんは、本当にすごいとしか言えません。できればカーテンコールで、素の心からの笑顔を見せていただければ、よかったのに・・・(なんだか感極まって涙を流しているように見えました。)
そのほかのキャストの方も、妥協なく役になりきっていらっしゃいました。途中、「それでもお前たち人間か」と舞台にあがり、つかみかかりたくなるほどでした。
この劇をみて、1人でも自分の未来に光を感じられれば、1人でも自分の利己的な行動が相手を死を考えさせるほど傷つけていることもあるということに気付いてもらえれば、この「手を握る事すらできない」という演劇の存在意義は十分あったといえると思います。とにかく救いのない展開でしたが、最後にほんの少しだけ光が見えたのが、せめてもの救いでした。
ダブルキャストなので、逆のBキャストも見てみたいと思える舞台でした。見るべき舞台、つらくても見なくてはいけない舞台だと思います。