刻印 公演情報 劇団活劇工房「刻印」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     過疎に悩む山奥の小集落を舞台にしたサスペンス物との形式を採っているが、ことほど左様に単純な物語ではない。(花4つ☆)

    ネタバレBOX

    何故なら因循姑息で旧弊な社会の掟、習わしに対する破壊行為が、サスペンスに連なる層の問題だとしたら、少なくとももう一つの層が、劇中から汲み取れるからである。そのもう一つの層とは、エディプスコンプレックスである。サスペンス層は犯人の認知の過程を通して思惟の相に転化し、極端な行動に走らせたのであるが、この行為がラディカルであることに、今作第1部の肝が在ると考えられる。
     更なる興趣は、今作のラディカリズムが何処から生じているかに在る。評者の考える所に拠ればそれは、この「国」のパースペクティブの欠如から、ということになる。即ち、あらゆる隠蔽、詭弁や嘘、そして欺瞞にも拘わらず自らの頭を用いて考え、自らの眼を用いて観察できる個々人にとって、未来等どこにも無いという露骨な絶望があるのみだからである。
    それが、生産性の全くないことが明らかであるような、今作で描かれているような行為に走らせたのではないか? そのことを突き付けるような視点を持った極めてラディカルな作品とみた。
     受付や、会場内での案内を担当してくれたスタッフの対応も実に良い。驚いたのは、キャスティング等を紹介するオープニングの映像である。このままでプロと言っても過言ではないレベルの高さをみせている。今後にも期待できるポテンシャルを持った劇団である。更なる飛躍を期待する。

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    2017/10/22 06:32

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