アンサンブル 公演情報 劇団ヨロタミ「アンサンブル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    脚本、演出、演技何れもバランスの取れた良い舞台である。(少し追記9.23.。最終追記9.25:03:06)

    ネタバレBOX


     シェアーハウスと名付けられた古い安アパートが舞台である。このハウスの住人は皆、大家の目に適った人々である。唯、大家の目というのが、少し変わっている。兎に角、本当に困っている人にしか部屋を貸さないのである。築後かなり経過しているが、共同で使える風呂や台所、手洗いなども総て建物内にあり、無論、皆で寛げる娯楽スペースのような共用スペースもあるので独身で生活費を切り詰めたい者にとっては理想的である。大家の目論見としては、困っている者は苦労しているから、互いに共同生活の約束位は守れるであろう、というのがあるのだが、そんなに大げさなルールがある訳ではない。住人に役者や新興宗教の信者がいるのであるが、チケットの押し付け販売や教団の資金稼ぎ用の物品を売りつけてはいけない。或いは順番にやっている掃除をキチンとする等である。極めて常識的なルールであるが、現在迄の住人は4人、一人は先ほども少し書いておいた小劇場で役者をやっている男(通称キング)、彼はコンビニで長年仕事をしているので廃棄弁当を許可を得て持ち帰り、豊かではない住人に分け与えている。一人は苛めに遭ったことが原因で引き籠るのみならず他人恐怖症になり、救われようと新興宗教に入信した男(笠原)、一人は借金苦でトラウマを抱え自殺しようとビルの屋上を目指した時、偶々そのビルの地下でライブをやる為に呼び込みをやっていた地下アイドル“くりみん”の営業用ポーズや物言いを見て救われ、以来彼女の追っかけをやっているプログラマー(長谷部)。もう一人が、サラリーマン時代には忙しさにかまけて女房・子供を放りっぱなしにし、遂にはリストラに遭い転職した果てに失踪していた男(岩本)。以上の4人である。
    ところで、今作オープニングで演じられるのは5人目の入居者候補(松川)と現在、大家の息子の嫁としてこのハウスの面倒をみている(美雪)の下見の場面からである。松川は、大地震と津波で妻子を失っていたが、妻、娘の遺体は見つかったものの、息子の遺体が見つからぬばかりか遺品さえ何一つ見つからないことに心を痛め、働く意欲も失せてぼんやりしていた。然し、行方不明の息子が夢枕に立ち「働け!」と励ましてくれたことから東京へ出てきて働くことになった福島県人である。この後、6人目が入居するのだが、この若者(白倉正弘)は刑務所に2年間服役していた経験があり、その際、大家の息子(稲葉)に大変世話になったという。その縁でハウスへ来たのだが、彼はくるみんの義理の弟に当たり、くるみんは現在はラーメン屋で働き、将来はのれん分けしてもらえるかも知れないという希望を持つに至った岩本の実の娘であった。因みに大家の息子、稲葉は、妻をレイプした男を殴り殺してしまい8年の刑で服役していたのである。但し刑務所では模範囚で新人をいびるような者を見付ければやめさせ、新人にも、刑務所での身の処し方などを諭す、中々現実的な実力者であった。殺人犯ということで、その怒った時の怒りの凄まじさを含め他の囚人たちを恐れさせる貫目を持っていたということもあろう。然し当人は基本的に冷静で、中々度量のある男であった。掛かるが故に、収監中早くから妻に「別れてくれ」と懇願していたのである。つまり、殺人犯の妻というレッテルを貼られ、世間から冷たい仕打ちを妻が受けないようにと考えたのであった。然し、妻、美雪の彼への愛は深く、妻は離婚を肯んじなかった。そうこうしているうちに夫も出所はしたのだが、以上のような理由から未だ妻の居る実家には戻っていなかった。そんな折も折、美雪は体調を崩し、異様な腰の痛みから倒れて動けなくなるという状態が起き、周りは早く受診するよう再三注意したのだが本人が中々重い腰を上げなかった。終に病院に担ぎ込まれると即入院。実は肝臓癌を患っていたのである。大家は、自分が土地を持ち、余った部屋のある建物を持っていたばかりに息子夫婦を不幸のどん底に落としてしまったと悔やみ、嫁の体を案じた末に新興宗教の財源である水を買い、癌にも効くと嫁に飲ませていたのだが、周りは詐欺に掛かったと思い、やめさせようとするのだが、兎に角、娘を救ってやりたい、という思いばかりが募る大家ではあった。入院が遅れたので、周りは美雪の余命はいくばくも無いと判断していた。そんな皆の気持ちを慮って、正弘は、息子を説得、実家へ連れ帰る。既に手術を終え、帰宅した妻と対面するが、夫は矢張り「別れてくれ」とつれない。そんな夫に妻は切々たる情を訴える。「手術は成功した、自分はこれからもずっとあなたと生きていたい」と。このシーン、キングが主演級のメンバー一人の代役を頼まれた後、急遽本人の帰還で(ハウスの皆に宣伝後)役を下ろされ而も最初に決まっていた役も代役が既に入っていて戻れないという情況で、寄る辺なく彷徨う様を、その寂しい、侘しい目で表現したのと好一対をなす名場面である。

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    2017/09/22 12:46

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  • のりんごさん
    最終追記しておきました。
    ご笑覧ください。
          ハンダラ 拝

    2017/09/25 03:06

    ハンダラさん
    観てきた!コメント&いつもご来場ありがとうございます😆✨✨✨
    楽しんで頂けた様で良かったです😌
    これからも、宜しくお願い致しますm(__)m

    2017/09/22 17:34

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