ナイゲン(2017年版) 公演情報 feblaboプロデュース「ナイゲン(2017年版)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     兎に角、シナリオがしっかりしていることと、演出、演技、キャラクター設定などが秀逸である。(追記2017.8.22 )

    ネタバレBOX

    演劇の基本中の基本が、ダイアローグにあるのは誰でも承知していることであるが、ナイゲンは、当にこの演劇の王道を追及した作品と言うことができる。高校生の討論を通して見えてくる世相、そしてその変化と常に頭を持ち上げてくる問題に共通する傾向や普遍的な性向などのシナリオレベルでの選択も適確であり、演ずる時点での時世の傾向にも留意した演出のフィット感覚も優れたものである。
    今回も最初、正面奥の緑板に対して対向方向に置かれた縦4列、横3列プラスこれらの椅子机に対して反対方向に向いていた教師用と目される椅子、机が開始早々、縦長のロの字にレイアウト変換される。こうすることで舞台を三方から縦コの字型に囲んだ、観客席のどの位置からも見切れを少なくしている。無論、単にそれだけではない。普段の授業スタイルから、ナイゲン用のレイアウトに変更したことを観客に意識させる為のレイアウト変更でもある。
    このレイアウト変更と前後しての明転の際、壁奥に掛かっていた掛け時計の時刻が、会議当日(3日目)の会議開始時刻に合わされ、その後の緊迫した議論を視覚的にも無理なく時間化してゆく。この辺りの演出は見事であり、必須の仕掛けをキチンとこなした上で作っている確かさが感じられる。様々なギャグや諧謔、大人の政治社会への痛烈なアイロニーやパロディーも、このようにしっかりした細部のリアリティーがあってこそキチンと機能しているのだ。
    会議の謂わばリーダー役である議長が、この手の会議は無経験だということも重要だ。何故なら、議長の役割とはあらゆるバイアスを排し、議会を催す際の約束事に従って議事を進行することだからであり、議事の進行についての偏りのない立場を貫き通せるということが最重要だからである。それには、寧ろ経験を積むことの無かった者の方が適確な場合も少なくはない。
    縦長ロの字の上手には1年、反対側に2年、そしてロの字の底辺を為す位置を3年が占める。各学年、3人。1人、1団体の代表である。3年の反対側には、文化祭実行委書記、副委員長、議長、監査の4人が並んでいる。ナイゲン精神、規約、参加さ団体詳細については、入場時、客席に置かれた当パンの中に資料が入っているから早目に行って目を通しておくとよい。(無論見なくても分かる内容にはなっているが)
    未だ多くのステージが残っているので、今日はこれくらいにしておく。後程、多少、追記をする予定だ。
    論理的には矛盾のある点もあるのであるが、設定が高校生の議論となっている点、また、基本的な方向性としては、学生運動のあった頃の最も美しい目標、一人は皆の為に、皆は一人の為にが底流に流れているようにも感じられ、現在、大人が政治で姑息極まりない詭弁を用い、良識ある人々総てを絶望の淵に追い込んでいることへの痛烈なアイロニーとしてみるならば、実際の行動や生態は兎も角、人口に膾炙したハイエナのイギタなさに対する白鳥のような爽やかさも感じられる。

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    2017/08/13 02:17

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