劇作家協会公開講座2017年夏 公演情報 日本劇作家協会「劇作家協会公開講座2017年夏」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    “劇作家協会公開講座2017年夏”2日目のドラマリーディングは 斎藤 憐 作の傑作戯曲「グレイクリスマス」だ。今回のシナリオは、本多劇場の杮落し公演で1983年に初演されたバージョンではなく、劇団民藝が既に300回以上の公演を打っている新バージョンの方である。

    ネタバレBOX

    演出の中津留 章仁氏によれば、曲目の選択なども原作に忠実なことを目指した、とのこと。第二次大戦敗戦直後から朝鮮戦争勃発までの数年間を日本国憲法成立過程や、その理想と民衆の責任の観点から描いた、骨太で而も実に抒情味も社会の実態感もある傑作。
    第二次大戦後の動乱期、旧支配勢力の没落・復活画策と故国が戦勝国となった在日朝鮮人勢力、GHQ内部での民生局・情報局の対立と最終的な情報局の勝利の中、憲法九条を持つ日本国憲法は変質してゆく。一方、新憲法によって初めて社会的権利を認められた日本女性の視座は、新憲法をベースに構築されてゆく。変貌する世界情勢の中での資本主義VS社会主義各々の囲い込み政策の中、ソ連・中共対米・西欧・日・韓・台湾の勢力圏争いの幕開けである。何より現在まで続くアメリカの対日政策及び極東戦略のアウトラインが如何様に決まってきたのか? を見る上でも頗る興味深い。
     これを、単に役者達が椅子に座って読むのではなく、かなり動き回りながら読んでいる点に、時代の動きを身体の動きで表そうとした演出の意図が働いているように思う。
     それにしても日本の為政者共の何と言う醜態だろう!? これも日本会議全盛の昨今、保守勢力の下劣に血脈と共に受け継がれている点でも興味をソソル。

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    2017/08/07 12:21

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