人本のデストピア 公演情報 バカバッドギター「人本のデストピア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     20年に亘って続けた公演も今回が最後、との触れ込みで始まった今作。デストピア状況が描かれる。デストピアについては、余り多くの方に馴染みが無い概念かも知れない。要するにユートピアの反対概念である。今作では、総ての動植物(無論、人間を含む)が一冊の本になってしまう、という奇病の流行った小国の話として描かれている。花四つ☆

    ネタバレBOX


     こんな未来の無い状況なら必然的に起こってくるニヒリズムという深刻な問題は、スルーされているが。この物語の訴えるデストピア状況、即ち「原因不明の病」の大流行によってあらゆる生命が危機に晒されている中で、尚、ヒトはヒトらしく生きることができるのか? という本質的な問いに対する答えとして,ノブレスオブリージュが提示されていることの重大な意味を減ずる訳のものではない。斯様に受け取れる作品であった。タイトルセンスも人を引き付けるに足るものである。難を言えば、序破急のうち、序破の部分をもう少し、大人っぽく刈り込んでも良いかも知れぬ。
     為政者の勤めの中心を果たすのが魔女の家系だが、それをサポートする軍部が体制護持に走る姿は、現実に軍の機能を表象しているだけに実に興味深い。
     前説にも、センスの良さが認められる。この前説だけで、大きな拍手が起こったほどだが、何が起こるかは、観てのお楽しみ。
     20年も続いて来た劇団が、今作をもって終演とするということだが、様々な事情があるにせよ、早目の復帰を願ってやまない。

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    2017/07/17 05:46

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