ブルーストッキングの女たち 公演情報 劇団櫂人(解散しました)「ブルーストッキングの女たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     シニア劇団櫂人の第3回公演だが、休憩を挟んで2時間55分の大作だ。描かれているのは1911年から1923年迄、平塚 らいてうらの雑誌「青鞜」や大杉栄 荒畑 寒村らによって発刊されていた「近代思想」と「平民新聞」、島村 抱月・松井 須磨子らが旗揚げをした芸術座など、新たな社会思潮が台頭した時代である。シナリオは宮本 研、演出は篠本 賢一である。
    (追記2017.5.26) 必見 花5つ☆

    ネタバレBOX

    驚かされるのは、当に現代日本の鏡という点である。全然古びていないどころか、今、この国に起こっている事象を歴史的視点から俯瞰してみせてくれるような作品なのである。長尺の作品であり、役者が基本的にシニアということもあって稽古は9か月に及んでいるが、作品の選定は演出家の篠本氏による。慧眼というべきだろう。
     舞台は、時代を画した標記三グループの相互交流を通して、これら自由で斬新而も快々な思想・実践を容認できぬ旧弊な勢力・官憲らの弾圧の底に何が横たわっているのかを示唆する。それをラストで甘粕に対して述べる野枝の科白に観てとることができる。要はやっかみ、そしてコンプレックス(複合意識)である。この場面、無論、酷い拷問等によって殺された二人の死の史実とは異なる。そうまでして宮本 研が書きたかったことが科白として書かれているのである。そして、これは本質的なことだ。我らの暮らす現代日本に於いても、この科白が示した人間性に立脚した普遍的価値観を追求する姿勢に対する、日本の権力者、そして御上に逆らうことのできぬ民の発想は変わらない。このことが、現在に於いて尚、今作が聊かも古びない原因である。







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    2017/05/25 11:54

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