インテリぶる世界 公演情報 箱庭円舞曲「インテリぶる世界」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    体内の管がぎゅうと縮まる様な舞台だった。
    自分は表現者でも無く、一般人だが、劇中の人物達が時間を追っての、少し、狂気ではないがぞくっとする感じが観ていて、心臓が痛くなった。
    前作(あなただけ元気)を拝見したが前作とは個人的には印象が大分変った。


    時間が異なる同人物の変化が一瞬、混乱もあるが、不思議とそれも、気にならなくなった。
    出演されてる方々の年齢の幅がとても、広く良かった。
    より、台詞の意味合いが深く伝わるように思えた。
    世界とどんなツールで繋がるのか、時代が変化してきてその流れも劇中で使っていて、観ながら「ひと昔前はこうだったのだったな」と気がつく。
    ただ、普遍的に変わらないものも今作はあったような気がする。
    年代的に、「親」という立場がよりリアルとなり、父や、母の「想い」が無視できないし、切実な感情と重なり、切なくもなった。

    ネタバレBOX

    現代アート集団「深八幡朱理子」という若者とそのメンバーの一家族の話。
    アート雑誌のライターが20年前のアート集団に関して関わっていく。
    場所はメンバー・深田の実家のガレージ。
    そこに奇妙な人々が集まって、そして、消えて・・。


    表現者の突き詰めると向かう方向性ってなんだろうって。
    観ながら思う。
    純粋に「作品」を作りたいのか
    作った「作品」を評価してほしい、沢山の人に認知してほしいのか
    「作品」にはどんな想いがこめられているのか
    「作品」って結局何が正しいの?


    アートに限らず、色んな表現に関して
    絡んでくるなと。


    劇中、深田の「死」への関心度の伏線があったが、あの感覚は決して
    特殊なものではないと思う。
    あくまでも、傍観者的に「死」の興味・関心・興奮は様々形ではあるが多くの人が持っている気がする。


    例えば猟奇殺人の昔のデータなどを読むと、犯人の特徴など読む分としては面白い。
    ただ、それは、あくまでも「傍観者」として読むからであって、「当事者」になった時はまったく異なる。
    深田しょういち役(扇田 拓也さん)初めて拝見したが、巧かった。
    あまり、自分の存在感をごり押ししない空気感も持ちつつ、破戒力ある芝居もみせてくれるような俳優さんだった。


    深田家の父のホルモン鍋。あれも、作為的であったと父が告白しているが、子守を殺すために行ったのか?
    自分の娘まりをレイプした子守を。
    自分の息子の考えにそぐわなくなってきた子守を。


    種があかされるが、その真意を全て分かる事は出来なかった。


    登場人物が癖がある中、ある種この人だからこそって役が叔父役の岡田 一博さん。
    嫌な、世間的にいたら近づきたくない人種だった。
    でも、実は物凄く人間が好きな、人とコミニケーションをとても、取りたかった人のような気がする。
    侍が首をつって死んでいる事を伝えた場面があまりにも、す・・・・と、台詞があったので、物凄く不気味だった。










    そんな最後を迎えた侍(安東 信助さん)。一番、壊れていった人だったのかもしれない。
    劇中、侍の芸術というWordで括られる他者からみると狂ってる様な言動
    (物を食べない・マネキンを妊娠させる・家を持たず暮らすなど・・)。
    マネキンの場面は「追悼のざわめき」という過去にみた映画を想い出させた。


    癖のある役柄の中で比較的ノーマルな感じだった八重樫役の鈴木ハルニさん。
    鈴木ハルニさんの芝居は観ていると安心します。
    弾けてる役も、きっちり、言葉を伝えるような役も、ハルニさんのカラーできちんと伝えてくれる。

    舞台美術が毎回作りこまれている劇団さんと前々から聞いていたのだが、今回も高低差を上手く使った美術だった。
    Macのスケルトンとか、懐かしい。
    照明で換気扇から漏れる灯りが妙に綺麗だった
    最後、死んだ人、生きてる人(もしかすると、死んでいる?)関わった人間が
    ガレージのシャッターを開けると雨の中、立っている。


    主催の古川さんはアフタートークで「閉じていた箱の蓋を開けた」とおっしゃってた。


    好き嫌いがあるので、手放しにお薦めです。観て下さいね♪みたいな
    軽いノリではいえないが、
    表現する人は観ると面白いと思う。
    文学でも、画でも、音楽でも・・・。

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    2017/05/14 23:11

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