グリーンミュージカル「LADYBIRD,LADYBIRD」 公演情報 アリー・エンターテイメント「グリーンミュージカル「LADYBIRD,LADYBIRD」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    タイトルのLadybird Ladybirdは魔法の言葉。

    ネタバレBOX

    森の中では”ネエ”と呼ばれていた名無しのアンがお母さんから教わった魔法の言葉。親を目の前で惨殺されたアンが、前のめりに生きてゆく為の魔法の言葉。
     大人から子供迄幅広い人々に観てもらうことを前提としたつくりだから、シチュエイションは単純である。森、虫篭の中、そして屋根裏。脱出口としては窓。開演時舞台中央奥には、虫たちの飼い主渡辺さんの家の窓が設えられているが、森に大きな捕虫網を持ってやってきた渡辺さんに囚われたアンとエリーの話に移るや、この窓は取り払われ、代わりに手前に設置してあったL字型が、適宜90°回転して窓枠になる。この仕掛けで虫篭の中の世界が舞台全面に広がる訳だ。と同時に閉じ込められているという現実が提示され続けるのである。
     ところで、どこの世界にも皆の世界観に入ってゆけない者が居るものだが、此処にも一匹デペイズマンというよりは、自意識の罠に捉えられたアゲハチョウの若虫が居る。彼女は、屋根裏から降りてきた蜘蛛の誘いに乗ってその住処へ出掛けてゆく。他にも都会育ちの♀カブトムシが同行。虫が居なくなったことを知った渡辺さんは半狂乱を呈する。この騒動を解決しようとアンは屋根裏へ出掛けてゆくが、蜘蛛の提供する好みの食べ物と自由に浸った脱走者達は容易に虫篭に戻ろうとはしない。無論、蜘蛛がおいしい餌を与えるのは太らせて食べる為であるが、その道理もすっかり肝を抜かれた脱走者達には通じない。そんな中、アンは初めて、Ladybirdの歌の意味、目の前で惨殺された母のことを語ることになる。こうして森の中からの友情を漸く取り戻した虫たちは元の虫篭に帰ってきた。
     この物語を主筋に、二夏を過ごし、既にボロボロのツクツクボウシのゲンゴロウや、娘を失くした離婚カマキリ夫婦、♀カブトムシに似ているか居ないか素っ頓狂な話で箍を外す、ゴキブリ&♀カブトムシ、5万数千匹の働き蜂の中の上位4匹、森の仲間であったが女王蜂になったハナの盛衰、強烈な臭気で皆を従えるカメムシ等々の逸話が絡んでストーリー的にも楽しませてくれる。多くの少女たちがダンサーとして登場するが、一所懸命に踊る姿が健やかで可愛らしい。

    0

    2017/05/06 15:21

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大