焼骨 公演情報 タッタタ探検組合「焼骨」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    火葬場、人生の最後にお世話になる場所である。今回は、その火葬場でのオハナシ!! 花5つ星

    ネタバレBOX

    厳粛を旨とするこのような場所を喜劇として如何に描くか? 最初から高いハードルを設定している作品だけに、どう料理するか? 観劇前の期待値の大きさは、誰にもあったであろう。結果、期待は裏切られなかった。思いもよらぬ形で進行する物語とオープニングでスクリーンに映し出された映像が、スクリーンを落とすと同時に生きた役者群が現れる演出の素晴らしさでいきなり引き込まれてしまう。空海の密教からの文章等が映写されたりという前提があり、焼き場の炎の描写があったりで、現れた役者達の炎を表すダンスが生々しく迫ってくるのだ。焼き場では、火夫が焼骨の歌等を歌いながら仕事をしている。火葬をお願いした一家、鳴沢家の人々の故人に纏わる雑談などが演じられる。火葬場スタッフ同士の場面、成沢家の人々と火葬場スタッフとの打ち合わせ場面などが、小気味よいテンポの場面転換で過不足なく紡がれ、仕込まれた様々なギャグと伏線、脱線、脱臼等々喜劇を作る際の様々なテクニックが縦横に配され、観客は笑いながら、箍を外され、思いがけない展開に翻弄される楽しみにしたたかに酔う。無論、更なる驚きと緊張が仕組まれている。詳細は上演中故敢えて書かないが、このもう一つの大きな柱によって、物語は単なる喜劇の枠を超えて深く哲学的であると同時に、厳粛であるべき葬儀という題材に対して決して礼を失することの無い優れた作品に仕上がっている。それは、死と再生の物語という普遍性に達し、仏教の極めて特徴的な思想である輪廻転生にも通じる。焼骨の歌の歌詞が、冒頭で歌われていた物とはまるで変って宮澤 賢治の「星めぐりの歌」になるのは、正しく象徴的である。無論、このようになることは、巧みな伏線によって示唆されている。今作も何度も観たい舞台だ。

    0

    2017/04/14 15:34

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大