みな兄弟∞ 公演情報 劇団オンガクヤマ「みな兄弟∞」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     シンギュラリティーという概念は現代人なら既に誰でも知っていよう。その内実となると知識のレベル、イマジネーションの差で大分違ってくるだろうが。

    ネタバレBOX

    何れにせよ、AIの発達によって人間の知は危機的状況にある。人間の現在やっている仕事の何十パーセントがAIに置き換えられるなどという生易しいレベルで済まないことくらい、誰にでも想像できよう。かつてジェノサイドの論拠となった適者生存程度の論理をAIが最も合理的と判断したら知的に劣るヒトは、彼らの下で、モルモットやエネルギー源にされるのみならず、ペットや実験動物として重宝されるかも知れない。何よりヒトほどのサイズの生き物が生活してゆく中で用いる膨大なエネルギーを合理的だとAIが認めるという保障など何処にもない。大した能力もないヒトという生き物をエネルギーを無駄遣いする主体だと彼らが断ずれば、消去やダウンサイジングなどの措置が取られよう。それは、ヒトが己の知によって他の総ての生物をそのような道具として扱ってきた以上ある意味必然だろう。知の劣ったものは知に勝る者に利用される以外に価値はあるまいから。
     今作は、そのような可能性を予測するが故に何とかAIと共存できるプログラムを組み込んでAIを作ろうとしているプロジェクトメンバーと市議会に立候補しようとする商工会議所有力メンバー、プロジェクトメンバーに関与してきたアキという名を持つ”女”、等々が惹き起こすアイロニカルな近未来透視図法である。アキは♂と肉体関係を持つことも一種のコミュニケーションと考えている”女”なのだが、本当に彼女が自然の生み出した産物なら、この発想は種の保存に適し実に合理的な発想と言わねばなるまい。
    だが、彼女が、本当にヒトの♀なのか否かは疑われている。ヒトではない、という解釈がタイトルに現れており、一見、実に魅力的な若い女性という形態なのでいくらでも♂はやって来、而も彼女の哲学はセックスはコミュニケーションなのであるから、みな兄弟になる、というアイロニー付きなのだ。と同時に、実はシンギュラリティーが既に実現されてしまっているという、こちらは作家が明らかに狙ったより深刻な落ちが示されているのでもある。

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    2017/03/26 14:44

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  • 中野さま
     コメント有難うございます。
    作品は、一度出来上がるとやはり作家の手を離れ、作品自体が、それを味わう者の解釈によって様々な局面を見せるのだと思っています。ですが、今作、自分にとってはとても興味深い作品でした。今後ともよろしくお願いします。
                                ハンダラ 拝

    2017/03/28 00:40

    劇団オンガクヤマの中野です。コメントいただきありがとうございます。
    本作に深い洞察と評価をいただき重ねて御礼申し上げます。私たちはいつも答えを示さないスタイルで作品をつくっています。ご覧いただいたお客さま一人ひとりに、それぞれの視点で感じていただけることや、プラスになることがあったのなら、とても嬉しいです。
    この度はご来場いただき誠にありがとうございました。今後ともオンガクヤマを何卒よろしくお願いいたします。

    2017/03/27 18:38

    アップが遅くなって申し訳ありません。
                ハンダラ

    2017/03/26 14:45

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