原作・谷川俊太郎    『部屋  in my room』 公演情報 花鳥風月「原作・谷川俊太郎 『部屋 in my room』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    男と女 棲家
     金属製パレットを1間半ほどの幅に広げた舞台上には、縦横45㎝高さ60㎝ほどの直方体が一つ置かれているが、これは3本足の椅子という設定だ。

    ネタバレBOX

    3本足なのだが、以外に安定性は良い。窓一つない部屋には、ドアが一か所。但し、ドアの外には何もない。虚空に浮かんだようなこの部屋には、若い女と若い男が一人ずつ居り、彼らはここに来た時の記憶を無くしている。然し、不思議なことに、男が寝ている時に夢を見ると、夢に見た林檎の木が一本生えてき、その木には実が一つ実っていた。男は、林檎の木を確たる実体にする為、女のサジェスチョンに従って実を捥ぎ、二人で食べた。そして逃げ出し得る先としての実空間を床下に求めた。そして折角生え、実体化した木を根こそぎ引き抜いてしまう。然し、床下にも何もなかった。結局、抜けでることは不可能だと悟った男は、女の愛を受け入れ、彼女の口紅を借りて、壁と言わす、床と言わず、窓を書き、実体化する。さて、愛の語らいをしている二人を襲ったのは演出家のダメ出しであった。
     谷川 俊太郎によるシナリオであるが、物語の流れは可也早い段階で解析できてしまう。然し、閉じられた時空を演劇空間として処理し、外界との繋がりを取り戻すのが、演出家のダメ出しというのは、それまで散々閉じ込められた空間が演じられた舞台に引きずり込まれている観客にとっては不意打ち。鮮やかな逆転であった。
     未だ、演出的に荒い点があったりもするが、このような作品を見付け出し、上演に持ち込むセンスと頑張りは評価したい。

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    2016/11/13 23:59

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