フーとスリンと祷りの倣わし 公演情報 菱路コネクト「フーとスリンと祷りの倣わし」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    Aチームを拝見
     基本的には征服者と被征服者の話である。

    ネタバレBOX

    但し、今作で特記しておくべき点は、征服者サイドが1枚岩ではないこと。被征服者の闘争形態が非暴力、話し合い路線を採っている点。更にTVクルーというメディアが関わっている点である。
     一般的に国家というものの本質は空虚である。その本質を隠す為に為政者は様々な手管を用いる。例えば秩序とその手続きである法、例えばこれらを維持し続けるための強権としての軍などである。無論、これらの実質的手続き以外に領土だの国民だの通じる言語だの、通底する風俗習慣等によって、そしてこれらの幻想を繋ぎとめる幻想としての歴史などによって補完されているのである。
     ところで、これらは、本来人間が持って生まれた自由を束縛するものとして機能する。而も、自由を知り且つ実践する者こそ、国家にとって最大・最強の敵なのである。ここに暮らす原住者達は、この自由を知り且つ実践してきた民であるから、かつては存在した村長すら必要とすることのないほどの民主制を実現してしまっている。言い換えれば、イスラムのロヤジルガのような民主制と言い換えても良かろう。日本でもかつて、このような自治を持つ村が存在したし、基本的には村民の衆議一決を問題解決の条件としていたのである。
     だが、現在のイスラム圏が欧米の確たる敵と看做されてその自治を破壊され、抵抗する者達はテロリストのレッテルを貼られて惨殺されている実態は、今作のような解決は極めて難しいということをも示しているであろう。また、欧米の介入が彼ら自身の勝手な論理に従って為され、最初からイスラムに対するバイアスを梃に論理が組み立てられている為、誤った方向に歴史を動かしてきたことは、アフガニスタン、イラク、パキスタン、アルジェリア、リビヤ、シリア、トルコなどの実情を見れば明らかである。そしてこれら諸問題の原因もまた、欧米が作ってきたという史実を見れば、決して一部イスラムの過激化ばかりを責める訳にも行かないのである。
     演劇的には、様々な所で踊られる踊りに必然性が感じられなかったり、踊りとテーマとの密接な関係の出し方に難が在ったりと突っ込むべき点はあるものの、権力と対峙する方法としては寧ろ最強の方法を描いている点、国歌と自由市民との対立を描いている点、即ち力と自由の根本的問題に竿差している点を評価したい。

    1

    2016/10/29 01:34

    0

    0

  • まだまだ勉強の余地がありますが、頑張ってください。

    2016/10/31 01:04

このページのQRコードです。

拡大