るつぼ 公演情報 Bunkamura「るつぼ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    言葉の暴力が招く不信感
    新国立版観劇済み。座って見てるだけなのに、緊張感がありすぎる展開にそれを緩和するような場面もあまりなく、終演後には物語の硬質さにグッタリ。つまらない、というわけではない、緊張の途切れない舞台で集中して見られたのは、やっぱり見せ方が上手かったのかな。
    同じ作品を見ていたつもりだが、新国立版が女性の視点なら、コクーン版は男性視点といった感じ。イエスの神様とその宗教観が生まれた時から骨身に沁み付いている国のことだから、信念を貫くこと、それこそが17世紀の正義だったんだろうけど、そんな世界観が背景にあるのに、どことなく現代世相も透けて見える。

    固定化されたセットの中で俳優が演技しているだけなのに、オランダやイタリアの印象派絵画を鑑賞している気分になり、脳内が勝手に美の巨人の解説の声が聞こえてきそうな錯覚も。衣装や美術がこれまで見た海外戯曲作とは雰囲気が違い、この作品にあって良いなーと思ったら演出家同様、本家イギリスのかたが担当されてた。それも一因か。

    ネタバレBOX

    女子集団心理の行動から弾かれ、疎外感を味わう恐怖って思春期に女子クラスを経験している人は特にくるもんがありそうな話。
    プロクターはレベッカおばあさんと一緒に刑に処せられるが、浮気許さずの姿勢を貫き、こうなることを予想して、あの場でああいう風に仕向けたのなら、エリザベスも大した女、っつーか、こぇ〜女だなっ。いや、嘘をついたことのない、正直な女の優しさが招いた嘘だと思いたい。
    でも、あそこの村人達はあのような結果になってしまい、その後は村民同士で疑心暗鬼で暮らすハメになって、最終的に滅びるのでは。

    黒木アビゲイルは、少女というより幾分大人びて見えた。溝端ヘイルは研鑽を積んだ牧師にしては少し若すぎるような。

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    2016/10/19 00:41

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