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ワンツーワークス「
パラサイトパラダイス
」の観てきた!クチコミとコメント
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ハンダラ(10439)
満足度
★★★★★
ワンツーワークス前回公演
初演は十数年前。
ネタバレBOX
だが、今作ちっとも古くなっていない。それどころか、普遍性を感じさせるのだ。それは登場人物個々の遭遇すべき現実が、個々人にとって最も痛い所で現実に演じられるからであろう。どういうことかというと、例えばいきなり夫と妻の科白が入れ替わる。夫は妻の科白を、妻は夫の科白を喋るという演出が為されるのだ。これこそ、想像力の用い方そのものである。何故なら想像するという行為は、相手の立場に立つことだからである。このような演出は、無論観客の度肝を抜く。その上で納得させるのである。
今作で描かれる家族の形は、日本の伝統的なそれとは全く異なる。いわば、一つ屋根の下に住みながら、家族のメンバー個々人が能う限り自由を実践しているのであるから。娘(菜摘)は、彼氏(明良)を自室に連れてきて同棲している。息子(春人)は勝手に大学を止めて、パソコンで何かをやっているが引き籠り状態。家族会議があっても携帯電話で参加するほどだ。妻(和絵)は妻でなんやかんやの不平を梃に自己の取り分を拡張してゆく。夫(耕平)は調整型だが、楽しみは帰宅後、社畜から解放されて飲むビールとガンダムのプラモ制作。隣の住人(佐渡)が年中出入りしているのだが、サプライお宅である。おまけに母(=妻)の母という言い方を強制する祖母(さち)、はアキレス腱を切って不自由という理由で強引に狭い一家に転がり込んでくる。更に、耕平の父(孝典)は壁と対話する孤独に耐えかね、持ち家を売却後、矢張り転がり込んできた。既に家族会議で決まっていたことも状況の変化に応じて変えなければならない現実の前で、それぞれの思惑、利害が交錯して人倫と自由、既得権などの権利を巡る議論が展開される中で、上で述べたような互いの科白の入れ替え、立ち場の逆転などの演出が加えられるので、決してセンチにならず、緊張感を持続した舞台展開が可能となっている。
シナリオ自体非常に優れたものだが、演出、演技、舞台美術の特異な形態、照明や音響の効果が相俟って普遍性を持ちつつ衝撃的な作品になっている。
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2016/10/12 14:47
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