鬨、唾棄すべき 公演情報 劇団パラノワール(旧Voyantroupe)「鬨、唾棄すべき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    キーはペイゲロという名のワイン
    南洋に浮かぶ孤島ナンマドールでの出来事。

    まず、照明が素晴らしいです。灯かりというのは使い方によっては幻想的でかつ、埃っぽさも出せるんですね。

    今回の照明は赤を基調とした、ぼんやりと漂う照明の下、南の孤島の熱気、錆びた赤茶けた鉄の臭い、灼熱の太陽の温度までもが感じられると言う照明の凄さもさることながら、素晴らしかったのはキャスト全員が優秀な実力派だったことでした。

    この芝居、観たのが日曜日だったこともあってUPが遅くなってしまいましたが、この作品は他の劇団の方たちに観て貰いたい作品です。

    本も、良く練りこまれ、人生の縮図を観ているようでした。
    第7回公演という事でしたが、若い劇団には稀にこんな秀作に出会う事もあります。

    長くなりそうなので、以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    1932年、マレーシアにて犯罪結社『死の腕』によって殺された田島の妹。その亡骸を抱えて田島ハルは復習を誓う。以後、田島はマレーの虎(ハリマオ)との異名で呼ばれる。彼は報復組織『マレーの赤い虎』を結成し、打倒『死の腕』を掲げる。

    孤島ナンマドールに『死の腕』の党首が潜伏している事を突き止めたハリマオはこの孤島でバーの店主になりすましていた『死の腕』の党首ダロを殺害する。復習の物語はここで終わるはずだった。

    だが、ダロの妹は「兄はずっと貴方が来るのを待っていた。友人としてこのワインを一緒に飲むことを楽しみにしていた。」と言ってペイゲロワインをグラスに注ぐ。「飲んで!」と。

    ここでの島民の掟はダロを殺した人物が次のダロになることだった。
    ダロとは一人の呼称で本名ではない。だからハリマオは14代目のダロを殺して15代目のダロに就任したという訳だ。

    島民達は主張しない、他人の過去に干渉しない、他言しない、島も出ないときてるから、悪党達が生きるのに丁度いいような環境だった事から、この孤島は悪人達の歴史を刻む吹き溜まりのような場所だった。

    舞台は家族を殺された復習の為に、ターゲットを殺し、そのターゲットにも家族がいて、更に復習が復習を呼ぶ。という恨みの連鎖から開放されるまでの男の人生を描いたロマン劇。

    かつて大虐殺を行った人達が見えない苦しみを抱えてこの島に死にに来ているという設定もさる事ながら、島の人達の他人を許す。という温もりや、最後にこの恨みの連鎖を断ち切る為にハリマオ自身が自害して終わりにするという心意気にも感動させられた。

    人を殺めてしまった行為に対して悔やみ、そして償いたいという心の膿を上手く表現してたと思う。

    そうして最後はハリマオの部下だった男パレンケが父親を殺されたナスカから、ペイゲロワインを差し出されるシーン。物語は冒頭のシーンと繋がり、ここでの隠された伏線がすっきり噛むように納得する。

    色んな場面に秘密のネタは隠されており、ひじょうにレベルの高い作品です。
    ハリマオが登場し全員が銃口を向けて撃とうとするシーンは壮絶なクライマックスで、ワタクシ、完全に磁場が狂ってしまい一人ワクワクドキドキ微笑んでしまったというおまけ付き!まさに樹海レベルでした。

    「太陽を飲み込んで生きよ。」

    そうだ!何でも飲み込んで生きよう。そう思わせてくれる作品。


    ・・・おまけ・・・
    今回の出演者の日本軍兵桜田を演じた棟熊琢巳、素晴らしい演技です。彼ほどアロハと雪駄の似合う男は観た事ないです。一升瓶も持たせてやりたかったくらいだ。
    くしゃみをする時は「へ~っくしょんチクショウ!」っつーてました。
    オッサンですわね?オッサンくしゃみ!いいものをみせて貰いました。
    棟熊、次回も頑張ってオッサンして欲しいです。
    オッサンという呼称、君の為にあるのかも・・かも・・(^0^)ガンバレー棟熊!




    2

    2008/12/08 14:07

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  • をぉ~、シチリアのマフィアって・・確か、小説でしたよね?
    「ゆりかごで眠れ」でしたか?

    確かに素晴らしい劇団でした。ただ、気になったのは芝居をしてるのに集中してない役者がいました。観客が気になるのか、誰かを探してるのか、視線が観客を舐めるように見てた役者がいたのよね~。
    カウンターでの会話に観客の目が集中してると思って気を抜いたのよ。しかし、観客はカウンターだけを見てない。舞台全体を観るでしょ?
    特に舞台が二手に分かれてたら、カウンターでの会話をしてる最中、他の出演者はどんな表情してるんだろ?ってむしろソッチを観る。

    彼のおかげで一生懸命に演じてる舞台全体の評価が下がったのよ。
    そんでもって、日曜の夜に数人で飲みに行ったらしく月曜の公演では声枯れしてたとか・・。
    役者として自覚がないです。
    たまに自覚のない役者が居るとまじめにやってる他の役者が迷惑しますね。

    自覚のない役者ほどワタクシ達観客は案外、シビアなんだという計算も出来ない。

    いいえ。次回は見合わせた方がいい。
    ワタクシはたまたま日曜に見て役者の視線だけは気になったけれど、若い劇団ということでおおめにみました。
    しかし、役者にとって大切な声を潰すほど騒いだり飲んだりして次の日の公演に支障をきたすなら、それは失格です。

    2008/12/10 01:43

    おぉ、何とも・・。
    レビューを読んでいるだけで、幾重にも興味が湧いてくる作品・・。

    南洋の孤島ナンマドール、照明に関する鮮やかな描写、そして異国での復讐譚・・。

    島民の掟、風景も何とも神秘的。
    そこにはシチリアのマフィアのような、理性で割り切れない異様さも醸し出す。

    興味深い題材にキラリと光る個性・・。

    う~ん、素晴らしい劇団ではないですか・・。

    次回は観ろってことですよね・・。
    ハイ、是非とも・・。
    楽しみにさせていただきます。

    2008/12/10 01:08

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