オールドアクターズソング 公演情報 THEATRE ATMAN「オールドアクターズソング」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「白鳥の歌」の落魄感がグー
     チェーホフの作品から「白鳥の歌」「熊」「結婚申込」の三篇をセレクトしたオムニバス公演。

    ネタバレBOX

    上演の順番は、其々の回に変わるのかも知れないが、自分の拝見した時は「白鳥の歌」が最後で初めに「熊」であった。「熊」「結婚申込」については上演台本にチェーホフの翻訳との大きな違いは無い。「白鳥の歌」に関しては可也原作とは異なった部分が入ってくる。シェイクスピアの「リア王」から嵐の夜の場面が演じられるのだ。ところで、シャイクスピア作品には数多くの道化が出てくるがその呼称としてクラウンが用いられるのはリア王のみだったと認識している。道化を表す言葉には様々な単語があり、最も格上とされるのがクラウン、即ち道化の王である。シェイクスピアが「リア王」にクラウンを登場させるのは、音的には王冠にも重なることもあるであろうが、肝要な点は、「リア王」では、狂った王が道化、逆にその王にまともな意見を言うのがクラウンであるという主客転倒が起こっているからなのである。その点を強調することで人間存在の有為転変、人生の諸行無常、そして我ら人間の根底で蠢く存在の奈落を示唆し、落魄感を十全に示すことに成功している点を見逃す訳にはゆかない。近代以降の人間が抱える根本的な問題を見据え、提起したチェーホフの本質もまた、この人間存在の奈落に依拠しているとしたら、脚本王シェイクスピアを引き合いに出しても悪くはあるまい。
     惜しむらくは、自分の拝見した回は、噛む場面が多かった点だ。

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    2016/08/21 12:29

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  •  清水 久未さま
     ハンダラです。コメントありがとうございます。
    芝居に限らず、表現することは難しいですね。殊に日本のように
    本質を観ず、己に本質を突きつけるような生き方を好まない
    事大主義の大衆相手では、本物のインテリや表現者には、
    多くの絶望が待っているだけです。一例を挙げておけば、三島を天才と
    評する向きは多いのですが、三島など大江の足元にも及びません。大江の
    仕事こそ、文学者としてこの国を代表する生きた表現だと考えるのですが、
    この程度の評価すらできないのが日本の大衆です。それに引き替え三島は、
    死に絶えた世界への陳腐な追悼をとても楽な方法(即ち修辞学)で糊塗しているに
    過ぎません。陳腐です。
     とはいえ、表現は世界が相手。腐らず、自分を磨いて参りましょう。
                                                     机下

    2016/08/26 06:44

    この度はご来場誠にありがとうございました。
    また、たくさんのコメントをありがとうございます。


    噛む場面が多かったことについては、ただただ、申し訳ありません。
    気を引き締めて精進いたします。

    今後とも何卒よろしくお願いいたします。

    2016/08/25 18:18

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