母と惑星について、および自転する女たちの記録 公演情報 パルコ・プロデュース「母と惑星について、および自転する女たちの記録」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    現在のパルコ劇場では最後の観劇。
    仕事終わりで観劇のため、移動には電車を利用しているが、観劇当日は電車の運転見合わせにより遅刻するハメに。
    そのため、冒頭シーンを見逃すが、終わってみれば深イイ話で良い舞台でした。
    背景幕や照明使いに蓬莱さんは脚本だけで、演出は別のかたとすぐにわかってしまうw。
    舞台は長崎ということもあり、地方都市の一角で生きている、血縁が女だけの母子家庭。ややネグレクト気味な母でも、それなりに育つ三人姉妹、かつて新国立劇場で上演された「渋谷版まほろば」といった趣きにも感じ取れた。

    8月には閉館になってしまうパルコ劇場に、退場時場内をぐるっと見渡したが良い劇場だったんだなぁ、と改めて感じた。欲を言えば終演後も劇場内の余韻にもう少し浸ってみたかった。
    たくさんの面白い舞台をありがとうございました。

    ネタバレBOX

    3人の娘を自分がどこかに飛んでいかないようにしている「重し」と自覚している母。娘たちからは、好き放題に勝手に生きているように見える母。自分の店のバーを一人で経営し、生計を立ててはいるが、酒、パチンコ、麻雀と遊興から男までと、手広く過ごしながら自宅では老母の介護もしている。
    現代パートと一家が暮らしていた当時の各々の回想場面が入れ子になっているが、どこもあんな風にされちゃぁ娘だってそう思うわな、と思わされるようことを母は平気にやっているが、その小さな積み重ねが彼女たちのトラウマになるとは母は思っていなかったんだろう。
    思春期の成長した娘に対して、薄情な態度をとったかと思えば、「泣くな!」と叱責したり、当時高校生の長女には「好きな男のとこに行きまーす。明後日、出て行きまーす」と能天気に宣言し「だから明日からは、おばあちゃんと妹たちの面倒を見てね♡」と無茶ぶりするわ、連日酔っ払って帰宅し介抱させた挙句、父親が違うとこぼし、三女に対しては「好かん」発言。
    自由奔放さ満ち溢れ、時折見せるきつい女、緩い女の顔など、こんな母親でも女の姿で接せられるところに男は惚れるんだろうか、などとぐるぐる考えたりし、愛しくも見えるが実際に遭遇するとこんな女性にはなれない!と多少のやっかみも生じ、反面教師的に彼女を見ていたが。あの3人の姉妹だったら自分はどこの立ち位置になるのかなぁ。当時の母親から受けた行為は精神的苦痛の日々というか、恩恵には感じないよなー、やっぱり時が経ってそれなりに自分たちの経験も加わり、言葉を重ねなくても母親の考えを受け入れられるようになるんだろう。あの母親は姉妹の姿を見ながら母親であっても女のパーセンテージが大きい生き方な人生だったんだなぁ、などと思いつつ、そんな母親の掌の上で彼女たちは育ったんだな。
    思い出の歌謡曲の歌詞の一節から、その場へ連れて行ってくれる娘たちも彼女の娘であり、やっぱり情があって優しい。

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    2016/07/10 16:49

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