どりょく 公演情報 かわいいコンビニ店員 飯田さん「どりょく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    バイアスを排して
     今回は、新作3本の回、再演3本の回があるので、日・時はキチンと確認して欲しい。自分は新作の回を拝見した。

    ネタバレBOX

    上演順にタイトルを挙げておくと①「果実」②「軋むほど君を抱きしめて」③「美の生産者たち」何れの作品も、シナリオが良いので見損じはない。
     ところで、分かり切ったことを念の為に書いておく。今回3作品に共通する視座でもある。言わでもがなではあるが、大方の人には、第2、第3の本能とも言えることであるので敢えて書かせて頂く。即ちバイアスを排除することから始めなければならない、ということである。少なくとも革新的表現者は例外なくそうであるし、そうであった。これは、表現が革新に至る為の緒である。これなしに新たなことなど生まれようが無いのだ。その分、一般の人には奇異に映るであろう。何故なら一般の人が一般であるのは、慣習と常識に囚われ、その範疇で総てを判断しようと図るからである。革新的表現をする者・目指す者は、先ずこの箍を外すことから始めるのだ。ここが才能の分岐点である。
     その意味で今作は①~③迄総てバイアスを取り除いた地平から見えてきたもの・ことの意味する所、またそのように見える所のもの・ことの証言である。心して観劇されるがよろしい。この作品を観る観客が、世界に対してどれだけ開かれているかを計る物差しにもなっているからである。
     無論、役者陣の演技も、演出もグー。また、実にチープな舞台美術にも重大な意味が込められている。一見チープに見える必要がある内容なのである。何故なら、ここに登場するキャラクターは総てマイノリティーだからである。ハッキリ言おうか! 総て被差別者なのである。だから、一見、チープに見られる必要があるのだ。この舞台美術は作品が要請する必然なのである。選曲も良い。一例を上げれば、In the year 2525。この歌詞は、完全にディストピアであろう(アイロニーに満ちた)。今のまま、ヒトが無責任に地球と其処に生きる生命、様々な資源を収奪するだけなら、残るのはディストピアだけなのは余りにも明らかだ。それは、ヒトという種の滅亡をも示唆している。一部は宇宙に逃れ、宇宙の放浪者になるかも知れないが。宇宙の他の知的生命体にとっては、凶暴で残忍な敵でしかあるまい。生き残ったヒトという生き物は。今作、少なくともこの程度のことを考えさせる射程を持つ。

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    2016/06/03 02:08

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