リア王 公演情報 人形劇団ひとみ座「リア王」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    シェイクスピアを骨太に表現
     終演から随分経っても未だに人気の「ひょっこりひょうたん島」を担った人形劇団、ひとみ座の公演は、シェイクスピア作品中でも傑作の誉れ高い「リア王」だ。

    ネタバレBOX

    無論、人形劇として演じられるのだが、演出家の伊東 史郎さんが興味深いことをおっしゃっている。即ち人間が死を演じる時は、生きたまま物化することを強いられるが、人形はもともと死んだ物でそれに息吹を吹き込むのは人形遣いだということである。これは実に興味深い指摘である。ポーランドのカントルは、役者達を殊更死体として演じさせ、同時に人形も多用する演出を見せた。而も彼の舞台に立つ役者達は、所謂プロの俳優ではなく、他に研究者だの何だのと言う生活手段を持つ者達であった。案外、こんな所にも演劇というものの本質の一端が垣間見られるように思う。
     基本的に主要登場人物の人形は一体を二人で操る。頭部と手あとは背骨部分で形作られた人形であとは衣装である。演技が大きく見え、自在度が高い作りだ。狂った王と道化の過ごす嵐の夜、仏軍がドーバー海峡を渡って攻めてくるさま。このシーンは、兵士たちのフォーメーションを様々に変えることで大群であることをまざまざと感じさせ、而も上陸寸前の場面では、兵士たちの足元だけを青い光線で照射して海から上がる場面を演出している。この演出センスと照明のコラボレーションには正直驚いた。流石である。ほかにも、グロスターが目をえぐり取られるシーンなど、人形ならではの即物的効果をうまく活かしている。

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    2016/03/26 12:21

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