Stay of Execution 公演情報 メガバックスコレクション「Stay of Execution」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    Bチームを拝見
     2030年関東を襲った大地震で東京は壊滅。(追記2016.2.23)

    ネタバレBOX

    舞台はそれから2年半以上を経た時点、正確には地震発生後1010日目から更にその101日後迄の、閉鎖系内の葛藤・自壊の諸過程を描く。ヴァレリーの「ユーパリノス」やサルトルの「出口なし」なども想起させる面白い作品だ。
     亜空間に閉じ込められた“幽霊たち”は2030年に関東地方を襲った大地震の際、地下鉄の構内に閉じ込められた160名のうちの5名。死神ワイズに直ぐ従った者らもあるが、ショックから直ぐには川を渡らなかった霊もあった。それらの霊は101日毎に巡ってくる迎えの日毎にショックの眠りから醒める。1010日目に目覚めた5人の魂にワイズは自分に従って来るように勧めるのだが、2人しか賛同者は得られなかった。その2人も他の者が行かないと強く言ったことから前言を取り消し、次の迎えの日迄、この閉鎖系に留まることにした。改札口のあった場所からは永遠の闇が広がり、一旦魂が其処へ入り込むと二度と其処から出ることができずに永遠に彷徨う。他の場所は崩れ落ちた土砂で埋まっていたりして出られないという設定だ。霊ならば肉体を持たず通れるハズという論理は、ゾンビのような存在と半ば彼らが意識している触れられる実態と化している為に不可能である。先に指摘したような「ユーパリノス」や「出口なし」の登場者は肉体を持たぬことの条理に従わざるを得ないことに対する理論的展開が頗る面白く展開されるのだが、今作は、その点では、アンリ・バビュルスの「地獄」に近い作品と言った方が良いかも知れぬ。何れにせよ、見も知らぬ世界へ、いきなり断ち切られ未練を残した状態では出向くことができないという拘りと、無為という状況の中で、意味を追求せざるを得ない知的存在である人間の懊悩との鬩ぎ合いが、自壊を引き起こし、それに耐えられなくなって争いや精神の崩壊を齎してしまう状況を画いているのだが、最後にカタルシスを持ち込んで一般的な作品にしてしまった。ここはもっと冒険をして、敢えて地獄のみを更に尖鋭化する作品でもよかったのではないかと考える。何故なら、日本という名のアメリカの植民地では、事実、何が起きているかをその被植民者個々人が深い所から認識することが先決だからである。政治屋共が、こんな馬鹿ばかりなのも、反対をする連中の捏ねる論理が表層に過ぎないのも、本当のことをキチンと見、認識し、反芻して深く考えることをしていないからである。こんなことでは、いつまで経っても光明が見えてこないことは必然である。先ずは自らの手で自らの着ている欺瞞・瞞着、臆病、虚言などの表層にメスを当て切り開かねばならぬ。

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    2016/02/23 16:51

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