今さらやることじゃない 公演情報 パセリス「今さらやることじゃない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    企画の良さも光る
     対バン公演で今回はパセリスを含め4団体が演じている。

    ネタバレBOX

    パセリスで作・演出を務める浅海 タクヤ氏のプロデューサーとしての才能も見せつける今回の舞台であるが、ムシラセは「魔法少女的ゾンビ」を、ナギプロは「バーバー・クイーンズ」をイチニノは「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスイズマイン!」を引っ提げての登場。
     自分が、最も気に入ったのは、チェーホフの三人姉妹をふと感じさせた「バーバー・クイーンズ」女中役のちよが、出す様々ななぞなぞに次女が適確な答えを出してゆくのだが、この間、直ぐに答えを出す形ではなく他のプロットが同時進行しているので、観客も充分自分の頭を使って考える時間があることや、音楽家の兄が高い評価を与えている世界的ピアニストが、大使襲撃事件に関わっているかも知れない、と思わせるような筋運びによって、実に上手に緊張感と演劇の醍醐味を持続させており、音楽の使い方や、貴族の館のしきたりなども適度に織り交ぜて完成度が高い。シナリオ、演出、演技、効果で今回自分は最も気に入った作品であった。
     またムシラセの「魔法少女的ゾンビ」は、馬鹿げたファンタジーなのであるが、非常に知的で深い知識を嫌味でなく用いて作品に厚みを持たせると同時に、馬鹿げ切ったファンタジーであることを前提で、マジに挑むシーンの見事さには、ちょっと胸が熱くなった。
     パセリスは2作品で受けているが、浅海氏の器用な面が、作品を表層レベルで上手に纏めてしまったように思う。これだけ為政者が嘘しか言わない時代、もっと毒や人間の暗部を照らす作品を書いても良いのではなかろうか?
     イチニノは、メアリーポピンズのまじない言葉に余りにも拘り過ぎて、シナリオが単調になり過ぎたきらいがある。
     何れにせよ、このように様々なタイプの劇団が、同じ板の上で張り合うのはとても優れた企画なので、今後とも続けて欲しい。

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    2016/01/19 03:05

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