満足度★★★
20回公演の孤独。
いよいよ、ひょっとこ乱舞がわからなくなってきたな、と思う。
雰囲気としては踊らなかった『水』に似ているのだけど、もっと静謐だ。
静謐というか空虚だ。その空間が途方もない宇宙に見えるような空虚だ。
恐らく狙い通りだと思うのだけど、会話やモノローグひとつをとっても、
乾いて冷たい風が通り抜けるような感じを覚える。
間違いなくそこに熱さはない。
一種の昂揚感が舞台を支配していたひょっとこには、もう会えないのか。
ひょっとこで笑わなくなって久しく、簡単に胸躍らなくなって久しく、
でも、後から思い出すと素晴らしかった気がするのも事実だ。
やっぱりひょっとことしての延長線にあるんだとは思う、今作でも。
第20回公演に観られたのは、祝祭ではなかった。それだけは言える。
こまごめは、今公演を「20回公演の孤独」と題してみた。
広田で素敵な宇宙じゃないか。それでいいじゃん。
……うまいこと言えないな。それくらい戸惑ってはいる。