くろねこちゃんとベージュねこちゃん 公演情報 DULL-COLORED POP「くろねこちゃんとベージュねこちゃん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    死んだら
    死んだら喋らない。喋れない。なのに死者が喋ったら恐い。まして身近な人で、恨みつらみを語るなら尚更。誰だって愛されていたいもの。家族には絶対。恐怖と安心と裏切りと幸せ。このスパイラルは天国へ登るのか、地獄へ落ちるのか。揺さぶられた。ソフトなタイトルで油断すると、心を抉られる。家族だから言えること、家族だから言えないこと。家族だから許せること、家族だから許せないこと。聞きたいけど聞けなかった、あの言葉の真意。渦巻く感情が、遠心力を増して暴れ始める。あの時のお母さんをねこちゃんが見せてくれる。それを見守るお母さんとねこちゃんの表情が雄弁。くろねこちゃんもベージュねこちゃんも感情がシンクロしている。百花さんと梨那さん、全く別キャラで見事なコンビネーション。漱石なら話せるのかな?拗ねて母親に反抗する娘は、きっとあんな感じだろう。深沢未来さんが苛立ちを熱演。嫁の本音とたてまえを奈津美さんが好演。女って、オンナって…やっぱりわからないや。東谷さんの背中から哀愁が漂う。長男としての気概と優しさが溢れた。お母さんの様子を見に行く妹への言葉が堪らない。登場人物みんなの表と裏が見える。その振り幅の大きさで、人間の多面性を渡邊さんが見せてくれる。
    女優になれる二人の俳優さんがこの劇団にいる。今回は大原さん。塚越さんがお父さん。逆も観てみたいと思ったのはわたしだけではないはず。大きな声はスイッチ。感情をON.OFFする。静かな語りが思いの深さを伝える。▶二回目の観劇。『全肯定少女ゆめあ』のゆめあと真逆なお母さんがいる。全否定される恐怖と戦っている。ただ、嫌われていたことへの恐怖というより、人生を間違えてしまったのかもしれないということへの恐怖なのだな。お父さんはアレを「捨てた」のか、捨ててないのか。あの問答は、アレの話でありながら人生のことだった。苛立ちを紛らす煙草さえも奪われた末に、穏やかで達観したように話していたけど、お父さんの笑顔は絶望に溺れていた。人生を捨てた瞬間に背筋が凍った。嘘つきケンタ。「いい嘘」をつけたのかな。感動させる嘘。それは誰にとっていいことなのか。それは誰かにとって悪いことにならないのか。やはり嘘は、やがて歪を生むのでは?ケンタの背中越しに見える妻と妹の表情が物語る真実。やっぱりオンナって…。やんちゃなくろねこちゃん。パンクスタイル。石ころゴッコに興奮する姿がリアルパンクで笑える。あぁ、優しさの押し付けは強烈な暴力だな。ずっと怒っていたとも美ちゃん。どんな人生を歩むのだろう。幸せを願うばかり。

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    2016/01/04 12:39

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