珈琲法要 公演情報 ホエイ「珈琲法要」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    元旦早々
    大晦日公演の観劇は体力無く、断念。年明けてアゴラへ参ると、閑散としているかと思いきや意外に席は埋まっていた。
     本作、この再演で初めて拝見。これまで見た青年団リンク・ホエイの舞台や劇団野の上(作者の山田百次主宰)の舞台とは一つ、趣き、というより深まり具合?の違う芝居になっていて、ほのぼの・のほほん・ほんわか といった雰囲気を思わせる題名(ひーとかほーが入ってるし・・)を引っぺ返すと軽い麦でなく(麦も美味いけど)、ずっしりとお米だった。
     三人によるシンプルな芝居。だが語られる事柄の重さ・広がりが、津軽弁の飄けた会話の中から徐々に立ち上がってくる。 
     最後に近い場面、女の口からぽそりと投げられる台詞は、効く。

    ネタバレBOX

    舞台は簡素だが、その中でアイヌの民族衣裳や、奏されるムックリ(アイヌの口琴)の上手さ、子守唄など、アイヌの風俗がとても丁寧に再現されている。ここに好感が持てた。というより芝居の要であるか。。(アイヌを演じた菊池氏に敬服)
     史実を基に書かれた話という。江戸時代だけにお上の命は絶対、ヲロシア国警備のために派遣された者たち。しかし相手はせめて来ず。 ただ、寒さと飢えの中で人が次々死んで行く。

     ポストトークでの河村氏の発言・・「日本の国はなぜ兵站を軽視するのか」
     確かに、、先の戦争でのインパール作戦、泰緬鉄道しかり。
     日本のアジア進出では、補給路を確保しつつ進軍する計画でなく、中国~東南アジアどこも例外なく、食糧から燃料からを現地調達するという甚だ無責任な方針で、だから強奪が起きたし、逆らう民間人も殺したし、組織的に食糧を奪って百万単位の餓死者をベトナムで出したという話もある。
     南方での玉砕も、餓死すれすれ。米軍の攻撃を受けて辛うじて「戦死」できたという・・・(苦)
     と考えると、「この後先考えなさ」は、文明と合理主義の浸透したはずの今の日本で、もう憂える必要のない心配事、なんだろうか・・
     このところ愚かな決定が頻発している中、最終的に誰も責任をとらない体制が結局何百年も続いてきたのだと、最悪の状況の中で気づくのだけは、避けたいものだ。

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    2016/01/02 21:38

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