すばらしい日だ金がいる 公演情報 アマヤドリ「すばらしい日だ金がいる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「太陽」の温かさ
    観終った後に、いつものアマヤドリの「風」を感じたが、

    更に今回は群舞で「太陽」の温かさ、眩しさを感じた。

    ココロの揺れが、いい意味で、暗くならず、私は明るくなった今回の芝居。

    途中の私の涙も太陽が乾かしてくれた。




    想像していた感じと、いい意味で違った。

    最初、「鬱」というキーワードに、 拒否反応を感じていた。

    哀しい気持ちになったら嫌だなとか 「喜劇」って言っていて 広田さんの事だからきっと、何回転も違う着地点をみせてくるんではないだろうかとか、色々考えた。




    確かに「それ、言っちゃうの?」って思う台詞も 沢山あった。

    正直者は、この世界は、生きるのが辛いのかもとも感じ、

    でも、生きるしかないから。みんなが色んな事を 抱え込んで、

    ぜーぜー言っていても生きるんだなって思ったり。




    でも、生きなくてはならない、

    ちゃんと、競争に勝たなくてはいけない

    金を稼がなくてはいけない、

    人ときちんと付き合わなくてはいけない。

    そんな事を自分に強いていくうちに

    つまずくタイミングで鬱になってしまうこともあるのかなって思った。




    舞台の上の人々は 私と同じ。

    私もいつ、つまずくか、分らない。 そんな事も、感じさせた。

    劇中で「治さないといけない」というキーワードがある。

    きっと、当事者ではない私から見ると

    「頑張れば、気持ちをしっかりすれば、治るのではないか」と

    簡単に考える。

    しかし、そうではないということ。

    答えは出されてはいない。

    あのラストには「ハッピーエンドだった」「アンハッピーエンドだった」と

    感想がでたという。

    私は、あのラストには、「温かさ」を感じ、「光り」を感じた。

    そう、想いたいという気持ちもあるのかもしれない。

    でも、私は、光りを感じたい。

    何公演か観た中でこのアマヤドリの『すばらしい日だ金がいる』は

    違う空気感を感じた。







    どの俳優の方も、素敵だった小角まやさん、彼女を観させて貰うと本当に「力」が湧いてくる。

    彼女自身も色んな事を思いながら、考えながらといった役を作る上のプロセスが真摯な態度だと想像。

    だから観ている人に共有項を感じさせ、パワーを貰える。




    普段とは少し、趣の異なる配役だった糸山 和則さん。

    しかしながら、やはり、ある場面での、視線。少しぞっとする怖さもある。

    今回は「静」の部分を請け負いながらも、じわじわと浸食される演技だった。

    善き、配役だと思う。




    笠井里美さん。彼女の身体に秘められたエナジーは無限なのかと、驚く。

    毎回の公演でも、色んな表情を演じているが、今回の長台詞。

    「母」として、彼女のココロが段々吐き出されていく。圧巻だった。




    この芝居での渡邉圭介さんが震えた。

    勿論、台詞がある時の照明が当たっている時も、ぐんと惹きつけられるのだが、

    四角の舞台のふちに、客席に向いて座って台詞の無い時の表情など、

    特に目を惹きつけられる場面が多かった。




    前回の三部作でも宮崎雄真さんの周りを和ませる空気感が堪らなく好きである。

    今回も、パン愛を語る中野智恵梨さんが焦がれるのも納得のコダマ役だった。




    本当に出演していたすべての俳優さん達,

    素敵だった。

    0

    2015/12/28 10:40

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大