時代絵巻AsH 其ノ七 『朱炎〜あけぼの〜』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 其ノ七 『朱炎〜あけぼの〜』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    花4つ星
     上杉 謙信亡き後、上杉家ではお家騒動があった。“御館の乱”である。この戦は養子であった景勝、景虎の争う戦乱であった。時は戦国、昨日の敵は今日の友。逆に言えば、今日の友は明日の敵という時代に、義を報じる上杉家の、義理ではあったが仲の良かった兄弟同士が争ったのである。この戦は謎が多いとされるが、その謎は何故、謎となったのか? 多くの資料をもとに、AsHの作家、灰衣堂 愛彩が、史実を基本に描いた叙事詩の一幕。

    ネタバレBOX


     景勝は、長尾 政景と仙洞院(謙信の姉)の息子で謙信の甥に当たる。一方、景虎は相模国主北条 氏康の子息で幼少の頃より寺に預けられたり、他大名の人質としてあちこちの大名家を盥回しにされて育って来たため、人の情に敏く武芸に余り勤しんではこなかった模様である。上杉家へ来てからは、謙信の旧名を与えられ、姪を正室に娶る。正室との間に子を設けたが、本作に登場するのは道満丸という長男。景虎の賢さ、人としての器量・度量は、武芸に秀でると同時に矢張り度量・器量に富んだ景勝と共に相並ぶ者がない。いわば上杉家のいずれ劣らぬ双璧である。
     謙信が遺言を残さず亡くなった為、誰が上杉を継ぐかは、単に継承資格の有る者のみならず、家臣一同にとっても大問題であった。偶々、近親の女性たちと共に枕元で謙信の面倒を見ていた樋口 与七が、病の合間に相槌のような仕草をすると漏らしたことを聞き咎めた上杉 政繁に、そのタイミングを見計らって景勝が継承したということにせよ、との命を受け実行。このことが、この争いの原因となった。然し、景勝、景虎共に戦国武将の子。家来どももどちらに付くかで割れ、今更収集がつかなくなっていることは百も承知。かくなる上は、雌雄を決して勝った者が、越後を豊かで平和な地域として発展させようということになった。なるべく犠牲を出さずに収めるつもりではあったが、景虎の配下、柿崎 晴家が北条家に援軍を要請した為、景勝サイドは武田に援軍を要請。戦が大きくなってしまった。暫く膠着状態が続いたが、終に決戦の時がくる。景虎の正室は自害、景虎は道満丸だけは逃がそうと上杉家重臣の直江 信綱の忍び、殆ど口をきかない又六を伴に付け、景勝との間に戦闘中も密使として手紙を届けていた又六を案内につけ城を脱出させた。又六が常には口のきけない障碍者のふりをしているのは、拷問されても絶対に口を割らぬ、という剛の者であったに違いない。それだけに景虎の信頼も厚かったのだ。だが、彼らが脱出に成功しない内に、景勝に味方する軍が、勝手に動き、道満丸らに襲い掛かり、又六は討ち死にしてしまう。追い詰められた道満丸の運命や如何に? これは、観て確かめて頂きたい。

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    2015/12/11 02:12

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