満足度★★★★
終わり、終わらないもの
とにかく、空間現代の演奏の作り出す緊張感が素晴らしい。絶妙に間を空けながら、3人の演奏者がぴったりと複雑なリズムを叩きだす。叩きだす、と書いたのはドラムだけでなくギターとベースにもパーカッションを思わせる叩く音の快楽が宿っていたから。その演奏が、躁鬱的な俳優たちの演技を裁断していく。この脱臼した感じが作品のキモになっている。
物語の進行感の薄い劇であり、ストーリーが展開していくことによる気持ちよさはこの劇にはなかった。その代わり、俳優たちの汗が次第に迸り、整然とした舞台美術は俳優たちの手で動かされ混乱を増し、裁断を繰り返していた演奏は溜めてたエネルギーを吐き出すように大音量を放つ。戯曲外の要素が一つの狂乱へと向かっていく。その爆発していく感じと、戯曲の進んでいかない感じとのズレが、おもしろく感じた。