ストリッパー薫子 公演情報 BuzzFestTheater「ストリッパー薫子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    知と傷と優しさと
     時代設定は1997年、場所はリップ座という名の場末のストリップ小屋である。

    ネタバレBOX


    1997年といえば、バブル崩壊が、じわじわと真綿で首を絞められるように着実に実感された年として記憶している。職業に貴賤は無いとの建前は兎も角、矢張り汚れているとみられがちであり、働く当人たちの中にもそのように「自覚」している者もある場末のストリップ小屋の踊り子たちを中心にした作品だが、序盤、人口に膾炙している薄っぺらで浅薄な解釈に従って導入された物語は、破・急では、人としての苦しみや個々の事情を晒してゆくことによって個別性を獲得し、深みと社会性、加害者と被害者、噂・偏見と真実などシリアスな問題群を提起して観客をぐいぐい引き込んでゆく。無論、踊り子とひも、遊び人としてのひものシャブ問題、屑だから放っておけないとする女性の性と、彼女の局部にも塗られているシャブによる性奴隷化の現実なども炙りだされる。上演中なので、余り詳しいことは明かさないが、主人公、薫子の抱えるトラウマを中心に暴き出される“真実”は余りに過酷である。今作を観ながら自分がイメージしたのは、カラバッジョの「マグダラのマリアの法悦」であった。

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    2015/11/12 11:47

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