こんなにもお茶が美味い 公演情報 ニットキャップシアター「こんなにもお茶が美味い」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ねじれた歪が面白い
    文章のような起承転結の話が何となく繋がる。しかし、必ずし筋道立てて観やすくするという意図は感じられない。
    オムニバスではなく、或る家族...姉弟たちの日常を少し誇張して描いている。それは少し捩れて歪んで観える。そのズレが何とも可笑しい。

    少しずつズレる会話、すり替わる話題、緩いテンポながら妙に心に入って笑い、架空と現実の混沌とした世界観。

    ネタバレBOX

    4つの話
    第一話...亡父の三回忌で集まった姉弟の茶の間での話。色々あって父の遺影の前で、弟は姉におチンチンを見せるが、姉はチンチンをながめ理由なく涙を流す。
    第二話...場面は横断歩道に変わり三回忌の夜の出来事。妹は兄と再会する。 兄は17年前に交通事故で死んだ。 事故があった電信柱のそばで、妹は兄と再会する。 妹は33歳になっていた。兄はあの頃のままだ。
    第三話...日本を離れてヒマラヤをのぞむネパール山中での話。弟は性的に淡白で、その妻との間に子はなかった。場面変わり、弟の妻はネパール...ヒマラヤをのぞむ深い山々での話。
    第四話...第一話から1年たった姉弟たちの様子。

    三回忌という「起」から始まり、「承・転」を経て1年後の「結」になる。
    テーブル 和室畳 ロープの吊り、生演奏(キャストによる)仮面(その動きがコミカル、愛嬌、表情の凡特徴)が逆に印象に残る。

    この何とも奇妙な展開をさりげなく繋ぐのが、”お茶どう”という台詞。そしてパントマイムでお茶を淹れる。父親が亡くなった以降、姉弟は記憶とうまく向き合えていないかもしれない。過去にあったことが回想録のようにも感じられ、記憶の蓋が少しずつ開いていくようだ。三回忌で集まることで溢れ出す父との思い出、それまで抱えていた悩みなど、その傷をなめ合うだけの家族。滞積していた日常から少し希望の光が射すようだ。しかし1年後...弟の妻が妊娠しており、新たな「生命」の誕生とともに「苦悩」も生まれそうである。人間の業の深さのようなものが垣間見える。よき思い出の記憶、忘れたい記憶、過去とうまく向き合うことが出来ず、流されるようである。

    そんな歪でズレた芝居は面白かった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/10/21 13:54

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