満足度★★★★
おんなななふしぎ
いつもそっけない感じのこまばアゴラの出入口あたりが、華やか。舞台のほうも、女7人の舞台は否が応でも華やかである。だが劇団チョコレートとの共同は、やはり濃く重かった。「重さ」は、そこに役ごと埋まる事で(リアルさを帯びることで)息を飲むような時間になる。 冒頭、尾身美詞の底辺から立ち上がるような声、はかなげに笑む智子役に始まり、渋谷はるかの割り入りの流れはすごみがある。 個人的には渋谷の急角度の演技の入り方は快楽である。昨年夏か、『父と暮らせば』での広島弁を思い出し、彼女にとって一連なりの仕事に見えたが、その価値のある仕事に思える。仰ぐように見る女優の一人。 他の6名はほぼ初の女優も多かったが、今回の舞台で全員、印象に刻まれた。劇団チョコレートとのコラボ、想像に違わず、重く、濃い。ノリの良さげなユニット名とはギャップのある舞台だったかも知れないが、「その頬・・」のタイトルと布の垂れた装置の意味が女優の登場と同時に氷解して以後、息詰まる時間を味わう演劇の快楽。