満足度★★★★
感動した
素晴らしい・・でも、そこでこの作品のすべてを評価してしまって良いのか。
前回のサリ氏という女性演出家から、男性の作家、演出家に変わった。
話のところどころに引っかかるところがあった、けど、全体の勢いを削ぐところはなかった。
女性の役者ゆえなのか、目線の隅々まで演技の意図、想いが漲っている。
だからこそ、なのか、頭の中で台詞を台本に並び替えていくと、この見事に完成された演出的配置の中に男性的な想像力の匂いを感じ取ってしまう。
それを、作り事の世界をひと時現出させる演劇的な要素として納得するのか、それとも女性的なリアリティの欠如と見るのか、迷うところ・・
でもこの目線から漲る女性的な熱量(嫉妬・渇望・喪失感を含む)と、台詞から匂い立つ男性的なロマンティシズム。このコラージュ、ある意味原爆乙女のケロイドと女性の美しい肌のコラージュと重ね合わせられなくもない。でもならばこそ、物語の中にこの目線と夢想とを幾何学的に美しく配置して、原爆乙女の魂の美しさを星座のように照らしても良かった気がする。
ル・クレジオが来日の際言っていたんだけど、文学というのはかつて存在した美しい魂を言葉の伽藍のなかに再配置すること云々・・そういう意味ではこのコラージュに一ひねりの遊びがあるとなおよかった気も・・