グレイな世代 黒とシロ&IN廣島 紐育に原爆を落とす日 公演情報 獏天「グレイな世代 黒とシロ&IN廣島 紐育に原爆を落とす日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★


     日本で戦中核開発に携わっていた人物としては仁科博士が良く知られているが、今作の主人公は同じく物理学者の彦坂博士である。未だ、アインシュタインやオッペンハイマー、ボーアも原子核の正確な構造を見抜けなかった時代に彼は、その構造を見抜き、原子爆弾を作ることが出来ることを見抜いていた。早く出過ぎた大天才であった。

    ネタバレBOX



     近い所で言えば、南部さんレベルかそれ以上の頭脳の持ち主であったと考えられる。彼は、欧米の熱狂するウランではなく、トリウムの研究をしていたと言う。何故なら、膨大なエネルギーを生み出す原爆を作ってもそれを制御できる技術が確立出来た後でなければ、そんな物を作ることが人類の未来に禍根を残すと考えていたからである。軍部の度々の核爆弾開発強制にも断固として首を縦に振らなかった彼の親族もまた、戦争の中で殺されてゆく。優秀な愛弟子も、婚約者を原爆で殺され、少ないウラン燃料を用いてどのように起爆させるかに気付き、陸海それぞれの最も優秀な飛行機乗り達にその方策を示し、奪われたテニアン上空での原爆爆裂を画策するが。
     彦坂博士は、己の研究者としての倫理を賭けて、軍への非協力を貫いた。何故なら、日本が核で応戦したら、負の連鎖が起こり、世界は終末への加速度を益々早めるからである。
     非常に重いテーマに真正面から取り組んだ快作。戦争の酷さを描きながら、技術はどうあるべきか? を深く問い掛け考えさせる、現在の核政策の問題点をキチンと炙りだした作品。彦坂博士役、和興の熱演が特に気に入った。

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    2015/08/01 15:14

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  •  コメント、ご来場ありがとうございます。

    笑って済ませられる時代から、もう笑えない時代に突入しているのではないかと・・・。
    何か心に引っかかっていれば幸いです。
    9月公演よろしければ来てください。

    獏天 イデ

    2015/08/05 10:27

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