満足度★★★★
役者の力量がものを言った熱演
26日午後、池袋のシアターグリーンで上演された惑星クリプトンVOL.1『紫陽花の下に死体は眠る』を観てきた。これは、知人の若林美保が出演していた関係からである。
ある日、睡眠薬を飲まされてある場所に集められた、賢司と、彼と関わり合いを持つ(母親、隣人、恋人、幼なじみ、同僚など)者合計10人。人間関係を壊す事がウリのとある会社のゲームに何者かが申し込んで集められたらしいのだが、集められた場所の周りには死体の埋まった場所に咲くという美しい紫陽花が。そう、集められた10人に課せられたのは、勝者が1人になるまで続けられる金魚すくいによって勝敗を決める殺人ゲームだった。
ゲーム進行に合わせるように個々の抱える賢司に対する本心告白や、誰が10人をこのゲームに引き込んだのかの黒幕探しが。1人、また1人と集められた人間が死んでいく中、賢司の恋人である京子が賢司の幼なじみである和也を好きになり、賢司と別れたくてこのゲームに応募したことを暴露。そうか、このゲームを主催した黒幕は彼女だったのか・・・・、と思いきや、実はそんな彼女の浮気を察した賢司本人が最初にこのゲームに応募した本当の黒幕で、結果勝者となって1人生き延びたのであった。
集められた10人の基準が、名前にKが付くことと、過去に賢司を傷つけたことのあることというのも、なかなか凝っている。が、この舞台の見せ場は死ぬ間際に見せる本心の告白シーンだろう。ここに個々の役者の力量が問われた。そんな中で出色のシーンを演じたのは、幼なじみ和也を演じた大対源(賢司の彼女の浮気相手でもある)、母親(過去に同じような殺人ゲームに夫婦で参加し勝者となった経験を持つ)・恵子を演じた若林美保、そして賢司の恋人京子を演じた徳永梓の3人であった。
とは言え、総じて粒の揃った役者がよく集まったなぁと感心させられるぶたいであったことは確か。KARAふるというユニットが担当した主題歌もなかなか印象的だった。
この惑星クリプトンという団体、公演ごとにメンバーを集めるシステムをとっているらしい。人選さえ間違わなければ、高い水準の舞台公演を続けていくことが出来るだろう。今後の活動に期待したい。