AMP THE PAVILION:002 公演情報 :Aqua mode planning:「AMP THE PAVILION:002」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    DIA SIDEを拝見

     未発表・再演・新作短編6本をDIA SIDE とMONO SIDEに分け3作品ずつ、上演日を変えて演ずる趣向の今公演。「あとの祭りのまえ」「犬では無理がある」「Range finder」の順での上演だったが、真ん中の犬では無理があるが40分程度、前後は20分程の作品で
    4日はアフタートークがあり、アムリタ主宰の萩原 永璃さん、Aqua mode planning主宰の松本 隆志さんの軽妙な会話も楽しめた。

    ネタバレBOX


    「あとの祭りのまえ」
     誰の記憶にもある思春期前夜の甘い感傷と無味乾燥なサラリーマン生活のギャップを詩的な線香花火の燃焼を透かして手繰り寄せるような作品。年上でしっかり者のお姉さんと年下の幼馴染の男の子の邂逅が惰性と味気なさそのもののサラリーマン生活と対比されて甘酸っぱい。
    「犬では無理がある」
     最も受けが良い。某有名CMを思わせるキャラの登場や国民的有名漫画を下敷きにしたパロディーをベースに誰でも楽しめる仕掛け満載で、作者の悪戯心が良く現れたちょっとシュールな作品。だが、無論、それだけでは終わらない。笑いの底に人間関係の不気味な齟齬やぞっとするような深い淵、グロテスクな様がキチンと描かれ、見方によっては、とても怖い作品でもある。3本とも作家、松本 隆志氏の短編作品だが、各々の作品でテイストを変えている点、視座を変えている点、また、其々の方法論を確認しつつ創造している点、また各作品の完成度の高さは、氏の才能を如実に表していよう。
    「Range finder」
    無論、銃、写真機などの距離計のことだが、このタイトリングが上手い。実際、始まりの30秒、非在が劇空間を占める。男が登場、観客の方を向いてじっとしている。その間1分程、女が登場、1分程矢張り観客の方を見てじっとしている、各々正面を向いたまま科白がない。
     その後、初めて「初めまして」、「初めまして」の応答を経て、男の科白を殆ど繰り返すような科白が続くが、互いの距離が縮まってゆく様が・親近感の違いが、微妙な科白の変化によって表される。電車に乗る時刻が同じ男女なのだが、互いに意識して行き帰りを同じ時間帯にしたり、女が男に本を貸して、互いの感想をぶつけ合ったりしながら、携帯でも連絡を取り合うようになる。男がいつもの時刻に間に合わなかった侘びにプレゼントを約束、彼女の誕生日を教えて貰う。
     彼女の誕生日、プレゼントを用意した男からの電話に彼女は彼と会っていた、と告げる。で、彼は他の女と結婚することも。男は、女の手に触れようとする。触れられた女は瞬間、手を引き男に背を向け、俯く。男は女の方へ向きを変える。この後、男からの発信に距離を置く女。男が諦めかけた時、女が漸く受信。ぶきっちょな感じで、その後、たくさんの発信と受信があり、久しぶりに出会った男と女、遠慮がちに女の隣に腰掛けてよいか訊ねる男。受け入れる女。暫くの間のよもやま話、何をするかを話し始める2人。翌日会う話をした2人。帰りも一緒の約束。男が女の手に触れる。女は俯く。男も俯き、10秒程の間。互いにゆっくり顔を上げると互いを見つめあって微笑む。無論、互いの手はしっかり繋がれている。
     緻密なシナリオを抑えの利いた演技と見事な間で表現。3作品の中で芸術性は最も高い。

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    2015/07/07 00:19

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