Béranger 公演情報 EgofiLter「Béranger」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    Béranger
     日本人には馴染みの薄い、ルーマニアの片田舎。1940年。アンチセミティズムを標榜する極右組織、鉄衛団のポーランド人カリスマ、コルネリウ・コドレアヌが1938年に投獄、処刑された為、下火になっていた運動は、38年のカロル2世国王による親政政治を敷いた後にも、鉄衛団残党に大きな影響力を持っていたイオン・アントネスク将軍を中心としたクーデタで政権を奪取。以降鉄衛団の恐怖政治が開始された。

    ネタバレBOX

     その政情不安の中、若い頃のウージェーヌ・イヨネスコが如何なる風土で如何なる体験をし、それがその後の彼の作品に如何様に結実していったのかを探るに頗る示唆的な作品である。行動原理として、本質的に情緒原理主義しか持たない日本人にも分かり易く、ルーマニアに於ける魔女の社会性に、複雑な政治情勢をオーバーラップさせて描いているシナリオも評価されるべきであろう。因みに此処に登場する魔女達はロマ族であり、15世紀ワラキア公、ヴラド3世(串刺し公として、また吸血鬼ドラキュラのモデルとされたということで有名)施政下、宮廷公認の魔女の末裔である。因みに
     更に、政情不安で価値観の大幅に下落したルーマニア通貨に変わって、金が重用されていることも興味深い。このことは、攫われたユダヤ人富豪の娘、アンドレアの生死が、父の隠し財産が、金・金貨であるかルーマニア紙幣であるかによって変わる、というリアリティーによって表現されている。ソ連崩壊後の周辺国、ロシアルーブルの下落ぶりは記憶に新しかろう。それとも、殆どの日本人は、1989年が、世界変動のメルクマールであるとの常識すら持ち合わせていないか。安倍のような姑息で頭の悪い支配者が支配者面していられるのは、多数決原理が幅をきかせる現在、とどのつまり、愚衆がマジョリティーを占めているからである。戦争に巻き込まれる責任は、これら愚衆と彼らを先導・扇動した為政者サイド(政治屋、御用企業、御用学者、御用メディア、御用「思想家」、経済マフィアたる銀行・金融業、官僚・殊に2+2日本側メンバーの責任は極めて大きい)の選択にある。
     前段のような状況を考えるのであれば、政治のどす黒さをもっと出しても良かったかとは思う。出し方は、更に難しくなるが、意欲的でラディカルなエゴフィルターなら、将来、このような難しい要求にも応じてくれるかも知れぬ。(願わくば応じられるような政治状況であって欲しいものである。最早、政治的には不可能の声が圧倒的に響くのが気掛かりである)

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    2015/05/16 17:03

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