なぜ ヘカベ 公演情報 東京演劇集団風「なぜ ヘカベ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    宿命の酷薄
     トロイの王妃、ヘカベは、アガメムノンらの軍との戦いで、オデュッセウスの知略に終に敗戦を迎えた。ヘクトールを始め、19人の息子を失くし、夫を殺され、国と民を失ったヘカベは、宿命を弄ぶ神々を分析する。

    ネタバレBOX

     ゼウスとヘラの前には、その親としてオケアノスとテーチュスが、その前にはウラノスとガイアが、そしてその前には、カオスとエロスがと辿ってゆくのだが、これは論理的におかしい。なぜならば、カオスは、総てを含む渾沌と考えられるから、エロスもカオスに含まれるハズであり、カオスは単性生殖をすると考えられるからである。カオスの定義が正しければ、この親を辿ってゆくことによって辿りつく筈だった“愛”というコンセプトそのものが、出てくる余地を失うから、彼女の問いは滑稽そのもの、愚かそのものとなるのであり、それ故にこそ、苦しまなければならなかった、という解が成立する。
     上記の推測が正しいとすれば、愛という概念が間違って抽出されてしまった点に、作家のキリスト教的思い込みがあったと見た方が良さそうである。この点を指摘する者が、誰も居なかったとすると、如何であろうか? 
     まあ、こんな理屈を捏ねなければ楽しめる舞台である。主演の辻 由美子さんの演技が良いし、神々、コロスの使い方も面白い。

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    2015/04/07 01:07

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