満足度★★★★
難しい。。。
ボクラ団義の作品にはあえて★4つまでしかつけない、という変なポリシーを持っている者です。すべてのものは完成した瞬間から朽ちはじめるのだ。
今回のコレは初演から数えて5回ぐらい観てやっと80%ぐらい理解できたかも。まだ気づいてないところがいっぱいありそう。それくらい難しく奥深い。
まず僕が個人的に歴史苦手ってこと。
もうひとつは字幕や台詞などverbal informationが多すぎる。
それでも、その上で、もう、すごいとしか言いようがない出来。
すべての作品に共通する見せ方、フォーマットのようなものを確立しつつ、この完成度でいろんなジャンルを制覇しにいってる団体を、僕は他に知りません。
動員という数字ときちんと向き合おうとしている点も好評価。
…さて。
PlayAgainは毎回いろいろグレードアップしてますがキャストだけは初演の方がよかったと思うことが多いのです…。
たとえば柴田勝家、蜂須賀小六、そしてもちろん八屋団蔵。初演がとてつもなく魅力的なキャラクター&キャストでした。今回別の役者さんが演じるにあたってそれぞれ十分なキャリアと実力のある役者さんだから初演をマネようとは思っていないのでしょう、違った解釈で楽しめました。ただ、それでもなお僕は初演の方が好きです。
余談ですが事前の予想で蜂須賀小六と柴田勝家のキャストは逆だと思ってましたし、逆だとどうなるのか見てみたいです。
あとはもう沖野晃司ショーですな。
いや、そうならないようにキャスト全員が必死でせめぎ合ってるのが見どころ。笑
やってる人たちは絶対楽しいわ、これ。体力的にも精神的にもキツそうだけど。
衣装も、目が行きがちな部分だけじゃなく足元まで、それぞれのキャラクターが身分に応じた、考証として正しいものを履いている。こういう隙のなさがボクラ団義の底力。
やや苦言を呈しておくと、音楽の使い方が安易になってきたように感じます。これはボクラ団義本体ではなくACRAFTの「天誅」や「紅蓮」シリーズあたりを経て顕著になってきた。以前だったらあえて音楽を入れなかったであろうシーンで薄くBGMを流したりとか。オリジナルサントラも、うーん。アイドルのイメージDVDとかに入ってる、いかにもLogic使って全曲一晩で作りました、みたいな感じ…。
もうひとつ同様の影響か、派手に見せようとしすぎの感もあり。舞台上あちこちでいろんなことが同時に起こりすぎていて追いかけきれない。
脚本、演出、役者がきわめて高水準で揃っているのだから、見せ方自体は素朴でも十分見応えがある作品ができる、という自信を持ってほしい。って、前作「シカク」で僕が期待する「ボクラ団義らしさ」は炸裂してたから今回こういうのもいいかー。