忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆 公演情報 企画演劇集団ボクラ団義「忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「芝居は生モノ」を痛感
    (二度目感想失礼します)
    二度観ですが、前回の感想で
    「良くできているが観ている側に熱が伝わる(吸引力が感じられる)のが
    劇中最後の方だった」と感じ☆4つにした後で、

    しかし全体的な構成から演技/演出からの良さ、
    そして何より信長の智将/猛将ぶりから狂気に至るまでに
    見入っていた自分を思い返し、やはり…と☆5つに変更していたので、
    今回は特に変わった感想がなければ投稿を控えようと思っていました。


    しかし、今回はとんだ(自分にとっての)神芝居でした
    (前回が☆5つなら☆6つでもいいくらい)。

    (ネタバレは控えるとして)
    複数回観劇すれば毎回自分の座席、周りの観客など(それこそ体調含め)
    舞台から受信する側の状況も変わりますが、
    同様に演じている役者さんやその他スタッフ陣についても
    色々な変化があるのかな、と。

    そしてそれが舞台に現れてくる事により、
    思わぬ(自分にとっての)神回に出会えるものなのだな、と感じました。


    今回、主役(?)の小助が間違いなく主役としての熱量を発揮し
    (それが痛いほどに観ているこちらにも伝わり)、
    誰よりも妹や友人を想い、そしてその想いに突き動かされる形で
    団蔵が・・・していくという。

    同様に信長、家康、秀吉、明智の関係においても、
    信長が着けてしまった火が全ての人の心に燃え移って、
    この物語の終着点にたどり着くという・・・


    感情を大きく表に出す「熱量の高い」お芝居について、
    好む人と好まない人とがいるのではないか?
    とは思いましたが、自分にとっては本日の観劇は、
    まさに自分の求めていたお芝居としての
    「心を強く引き込まれる」面白さが
    一番高い回だったと思います。

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ・ 小助の演技が数日前の前回よりとてもとても熱く感じられました。
      発する台詞の一つ一つが心に刺さります。

      ※ その代わり終盤喉を痛めかけていたようですが(´・ω・`)

      「下忍」という生き方を諦めてはいても、
      自分の大切な家族(妹)、そして仲間の事に関しては
      何一つ譲らない、熱血ぶりを宿しているのが小助という
      男だと思っていました。

      前回の観劇では小助の家族への愛情、友情を見てなお、
      「智者団蔵を主役にそえたトリックミステリー」的に
      本劇を観ていましたが(小助という存在が団蔵に食われた形)、

      今回は、まずふうかの死(と小助、団蔵とも思い込む)があり、
      そして小助の信長を討とうという想いに答える形で団蔵が決意し、
      「天下の大事変」を起こそうとするという、
      小助あっての団蔵だったと思えます。

      それほどにまず小助の熱量が高かったかと。
      だからこそ、「団蔵もその想いにうたれたのだなあ」と
      納得の行く回でした。


    ・ 小助、団蔵コンビが見栄えしたのと同様、
      信長および忍び達の謀略により、
      妻や子を死に追いやられた家康や、
      母を死なせ、また比叡山焼き討ちに手を汚してしまった
      明智だからこその
      「義の為に生きる!」「不義信長を討つ!」という気持ちが
      痛いほど伝わってきました。


    ・ 以前劇団/役者は「舞台初日に照準を当てている」というお話を
      聞いた事がありますが、やはり「舞台は生もの」であり、
      千穐楽に感じる役者および観客両者のものすごい熱気(祭りの最後を感じさせる)や、
      公演期間中に生じる色々な変化は、
      作/演出および役者陣/スタッフ陣ともに抑えきることも
      制御しきる事も出来ないものではないのかな?
      と思いました。

      例えば初日標準ラインの舞台を演じられたとして、
      それに対してなんらかの想いを持った役者さんが翌日以降
      少しでも演技や熱の入れ方を変化させたり、

      アンケートその他での指摘などに対応する形で
      それぞれがそれぞれに舞台を変化させていく、
      という事はあるのではないかな?
      と、本日の熱量の高い舞台を観て思いました。

      ※ 小助1人ではなく、ふうかや秀吉、明智、家康など何人も
        数日前とは熱量に違いを感じた役者さんが居ました。
        (というかほぼ全員、「慣れ」その他含め
        熱量は上がっているかと)


    ・ 本劇の物語はある意味「ゲームにしてしまいたいファンタジー」な展開ですね。
      健気に生きた兄妹が引き裂かれ、
      そして妹は死に(市に化けている事を知らせられず)、
      その復讐を決意する兄と
      愛した女とその友人の為に壮大な計画「大事変」を立てて、
      立案した自分自らを最後の悪役として幕引きをするという・・・

      いやー、和のファイナルファンタジー(ファミコン時代の)ですわ、
      もう見せ場だらけの物語でしたね。

      物語のトリッキーな部分はついていくのが難しい面もありますが、
      観劇側の「心を動かす」感動パートは思ったよりも
      単純かつ心に刺さるものだったのではないでしょうか?

      義に立つ明智や天運にまかせず大事変を成し遂げる為に
      先に信長を暗殺しておいて信長を演じて本能寺で討たれてみせる団蔵、
      更には未来、ふうかの孫に苦労をさせたくないと
      茶々の子をすり替えた老人達(忍者にしてしまったのはどうかと思いましたが)、
      最後には茶々自体を救いに走る所まで( ´ー`)


    ・ 本劇は「生きる!」事に特化したストーリーなんですね、
      「社会の最底辺」的な立場で自分の生き死にすら自分で
      決められなかった「下忍」達が「復讐」そして「自由」を勝ち取る為に
      暗躍(謀略など)するなど、
      単なる「正義」などでは片付けられない「足掻き」のような行動と展開と。


    ・ 他の人の感想から「ああ、そうか!」と思っていた事ですが、
      今回は役者さんの熱量と同様、演出面での凄さを改めて感じた回でもありました
      照明、セット、映像、(特に)音響面での演出など。
      (これはBIG TREE THEATER自体の良さもあるかも知れませんが)

      舞台上に別の場面を演じる10人近くが混在して立っている中、
      コロコロと場面転換して次々に各場面を演じるのが
      全く混乱なく分かるのは、照明その他の上手さによる部分も強かったと思います。


    ・ ほぼ歴史の通りなのでしょうが、
      当初小大名といった存在で
      色々と名将達を引き入れていく形で勢力を伸ばしていく信長に勢いを感じ、
      それが浅井長政との戦い辺りから狂気を持ち始めていく、
      史実とはいえ怖い存在ですね、
      織田信長は・・・
      舞台上の織田信長自身を観ていて「恐怖で人心を掌握する天才だったのかな?」
      など考えてしまいました。
      ※ まあ結局「恐怖政治」のあまりに裏切られる訳ですが・・・


    今回を観て、初めて「大変いいお芝居でした」と言い張れます。
    良かったなあ、ただ最近の長丁場公演(10日近い?)について、
    くれぐれも喉や身体(筋肉痛その他)だけはお気をつけて
    千穐楽まで頑張ってくださいm(_ _)m

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    2015/03/16 23:48

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