完熟リチャード三世 公演情報 柿喰う客「完熟リチャード三世」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    権力闘争
     シェイクスピアの描いた薔薇戦争終結部に当たる今作であるが、薔薇戦争自体が、諸侯の権力闘争であった以上、史実は、シェイクスピアが今作を書くに当たって資料としたものとは異なる可能性がある。本当は、その点に注目して、埋もれた史実のかけらを隋所に鏤めながら作劇すると、革命的なシナリオたりえたであろう。

    ネタバレBOX

     
     然し、今作では、軽佻浮薄なこの植民地住民の思想性の無さとメディアリテラシーの欠如によって、自らを安穏とさせている愚か極まる知的退廃に合わせたとでもいうような作りに感じた。
    確かに、シェイクスピアの科白を上手に削っており、悪役として、リチャード三世を描くことに成功している。その為に強調されているのは、男性優位社会で美しく在りたいと望む女性の価値観に反し、リチャード三世がハンデキャップであったことが悪の権化になる為の契機となっている点、それが女性のみによって演じられている点だ。然し、これでは、体制のイデオロギーそのものではないか? 本来、芸能は、庶民のものであって欲しいという願いを持つ自分の立場とは以上の点で判断基準が異なる。

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    2015/02/09 13:56

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