悲しみよ、消えないでくれ 公演情報 モダンスイマーズ「悲しみよ、消えないでくれ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    良かった。
    前回公演は見られず。今回の舞台、各方面から好評な感想は目にしていたが、噂にたがわず、地味だけどとても良い舞台だった。
    でんでん氏にホロリとさせられるとは思いもよらなかった。
    可笑しさの中から次第に切迫した場面に変化していくのだけど、その人たちの動向を淡々と描いているだけなのに、静かにジワジワと、滑稽さと哀しみも一緒くたになり、いろんな思いが蓄積されて最後の最後にあの落とし方。見てても聞いても、心にドサッと響いた。

    舞台を3方囲みのコの字型の座席配置だったので、座席によっては最後の表情を見られない場合もあるかと。あの場面の舞台セットが彼の心情も表していたんだろうか。

    ネタバレBOX

    好きだった彼女を死なせた事への自責の念、表面上はそうであっても裏では自由を味わいたい。「なんとかなる」で時間が解決すると思っていたのかなー、な、忠男。あの場ではコレも試練だと思ってそう。緊迫した雰囲気の中で唐突に言わんでいい事を言ってしまう男ども。怒りの矛先の行き場がついチカラ技になってしまうわ地団駄を踏むわの友之、時に詩人になってしまうナチュラリストな紺野。しっかりしてそうで実は女の掌で転がされてそうな生き方に男の純情が垣間見える清一郎。この面子の中では個人的に一番夫にしたい人かもしれないw。
    ゆり子と陽菜の男へ共依存の選択性に性格の違いがはっきり出て、この30代女の行動はどちらもなんとなーくわかる気もする。

    他界した姉の意志を知っていた妹、全てをわかっていた上で父親にも言わなかったのは彼女なりの優しさだったのか。
    その姉妹2人を大切に育てていた父。娘へエールを送るつもりの選曲だったのに、一時は息子と思っていた奴に歌うことになろうとは。亡き娘の板挟みで困惑と混乱の気持ちを抑えた歌い方が味わい深くいい歌声だった。目の前の騒動の際、梢を気にかける様に口に出さないけど娘たちへの愛情が伺えて、そんな父に訪れた荒涼たる結末。冬景色の中で一人佇む寂寥感ある姿に切なくなった。

    みんな見た目はいいのに精神年齢の低さ、その場の間抜けさから露呈するダメ人間ぶり。さらにドツボにはまる展開に「あーあー‥」となり、笑えるけど、次第に父親のやり場のない怒りの持て余し方には同情したくなった。

    タイトルの「悲しみよ、消えないでくれ」は、亡くなった一葉が生きている者へ対しての言葉にも取れるし、父親が一葉の友人や憎いけど息子と思いたかった相手への願いにも思えるし、こうなってしまった責任を取らせる為の仲間内の心情にも受け止められて、もうこちらの気分がアップアップで追いつかないくらいの哀楽の込み上がり方だった。

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    2015/01/31 19:18

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