悲しみよ、消えないでくれ 公演情報 モダンスイマーズ「悲しみよ、消えないでくれ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    冷徹なまなざし
     ことばだけでなく練り込まれた構成にもとづく演出で、生きている人間の現在、
    欺瞞、傲慢、あさましさといったものが次第にあぶりだされてゆく過程が実に
    緻密に描かれている。
     モダンスイマーズの作品特に混迷低迷期の作品群などでは、作品によっては
    こちらの心にうまく届かずなにかもやもやした感じが残るのだが、今回は、
    自分の鑑賞眼という普通のカメラでもその焦点近傍に入ってくる、かつての
    勢いをかなり取り戻してきているような蓬莱節が見事に炸裂している作品。

    ネタバレBOX

     コの字型に舞台を囲む座席配置になっていて、席によっていろいろみえ方も違ってくるかもしれませんが、現代口語演劇の手法も取り入れられていて随所に工夫の凝らされた演出舞台でした。
     また、男達の情けなさ弱さが徹底している分(ハイバイの「おとこたち」に出てくるおとこたちもすさまじかったですが)、女達の強さ適応力といったものが対照的に自然と際立ってくる作りになっています。特に、問題の男の元恋人の妹(この物語のいわば隠し球というか切り札的存在)の内面的なまなざしが実は極めて冷徹で、人間の虚無と闇の世界を見つめた紫式部のあの冷徹なまなざしにどことなく重なるところがあるような気もしました。


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    2015/01/29 22:55

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