『タダノヤサイダ』 公演情報 7millions-ナナミリオンズ-「『タダノヤサイダ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    日本人には何故インテグリティーが無いのか?
     極めて日本的な話だと感じる。インテグリティーの残酷な迄の欠如を語った物語だからである。それを意識して書いている訳ではない点で、少し批評性に欠けるが、その有り様を端的に描くことは、結果として、日本的在り様の弱点を描くことになった。

    ネタバレBOX


     話の内容については、他に書く人がいるだろうから、割愛する。自分が、日本人にインテグリティーの欠如を認めるのは、桃山時代以降である。天正18年【1590年】に、豊臣秀吉の命によって実行された太閤検地によって、人民の人別帳が、権力者に把握され、その後行われた刀狩りによって、民衆が権力者に抗する為の武器が取り上げられた。これで、権力者は、どんなことをしても枕を高くして寝られる素地が整ったのである。その上、豊臣を破った徳川は、その支配イデオロギーの中心を朱子学に求めて、思想的に民衆が、権力者に太刀打ちすることを悪とするイデオロギーを大衆化することに成功する。無論、五人組だの何だのの連帯責任を負わせることによって、お上に楯突くこと、即ち犬死にすること、という事実を積み重ねさせてゆく。このような状況に数百年の間置かれた、日本の人民は完全に愚衆と化し、インテグリティーを失っていったのである。無論、支配層として君臨した武士階級も武家諸法度などでがんじがらめにされ、上には逆らわない、現代でいえば、社畜になり下がっていたわけである。このような時代に、お上に逆らった武士の総てが、陽明学を奉じたことも、偶然ではない。他に例証を挙げれば「葉隠」が、300石加増を、著者に許した背景でもあったと考えられるが、時代は、このような決死の覚悟を要求したのであった。
     一方、枕を高くした為政者は、見ざる、聞かざる、言わざる、という支配者にとって極めて都合のよいイデオロギーを愚衆に押し付け続けて来たのである。これが、日本人にインテグリティーの欠ける根本的な原因であろう。

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    2015/01/18 10:39

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