ボスがイエスマン 公演情報 万能グローブ ガラパゴスダイナモス「ボスがイエスマン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    (いい意味で)こういうウェルメードなコメディは好き
    福岡のコメディ劇団。

    きちんと作り込まれていて、ストーリー展開と役者のやり取りで笑わせてくれる。
    役者同士の台詞の噛み合わせ具合もいい。

    ネタバレBOX

    所属するプロダクションが頼りにならないので、社長に黙って独立しようとする所属タレントたちの話。
    新しい事務所社長(ボス)は、タレントたちには絶大の人望があるマネージャーがなる。
    しかし、この人が……。

    地下なので携帯が通じないことなど、いろいろな制約もコメディのお約束として、物語を面白くしてくれる。「そんなところでは事務所は成り立たないだろ」という突っ込みはなし(笑)。
    王子劇場の使い方もうまい。高低のある舞台が生まれ、地下室感がよく出ていた。

    こういう設定のときには、集団をかき混ぜる役割が必要であり、それを若手の中で1人だけ独立事務所にに呼ばなかった女性が担う。
    彼女は呼ばれてもないのに「なんで来たの?」という、独立しようとするメンバーたちの疑問を、観客も共有できる。観客の気持ちがリンクできる設定だ。内容に入りやすい。

    当然、「いい感じのラスト」になることはわかっているのだが、いがみ合っている2人の女性の、そもそもの原因が「勘違いだった」という「よくあるパターン」でめでたし、めでたしにならなかったところが良い。いい感じの気持ちの噛み合わなさが出ていたと思う。

    台詞の応酬ではなく、ラストの大団円につながるのが、地下室からの脱出という展開はとてもいい。
    場所の設定がきちんと活きてくるし、動きもあるし、さらにストーリーが一直線にならない。

    ケンタウロスの絵にどうしてまた布を掛けたのかな、と思っていたら、その理由も面白かった。
    昔やんちゃしていた、からの煙草のシーンは、2度あったが、この2度の使い方もいい。大笑いした。脱出のときのケンタウロスのシーンとこのシーンは好きだ。
    あと、尾崎豊の現在を告げるシーンも(あり得ないけど・笑)面白い。

    役者はいかにも芝居してます感があるのだが、それには悪い印象はない。全体がウェルメードな感じだから。
    役者の中では、いがみ合っている2人の女性たち(田崎小春さん、針長亜沙美さん)が印象に残った。歌手志望の青年(松野尾亮さん)と彼を好きな女性(横山祐香里さん)も良かった。

    ただ、タレント事務所であるということで、歌手とヒーローショーのアクターという2人はわかるのだが、ほかの人たちは何をしているのかがよくわからなかった。
    そして、その「何をしているのか」が、ストーリーに活かせてあればもっと良かったと思う。
    と言うか、それはこの場合絶対に必要だったのではないかと思うのだが。

    ガラパゴスダイナモスを観るのはたぶん2回目。
    東京には3回来ているらしい。
    東京に出て来るのは大変だろうが、また是非来てほしいと思う。

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    2014/12/22 21:33

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