満足度★★★★
幕引きもあり
2014年度の実演は「三人吉三巴白浪」から「大川端庚申塚の場」である。
「濡れてに泡の 百両云々」という有名な科白のある場面だが、実に面白い。歌舞伎を観るチャンスは滅多にないのだが、緞帳も伝統的な色のものが使われ、拍子木も無論入る。何より、次から次へ件の百両が移ってゆく面白さや、親切を仇で返す悪党ぶりを見せるお嬢吉三に絡むは、お坊吉三。これが、カツアゲ、たかりの風情だが、実は浪人。この辺り取り潰された大名の家臣の問題等、武士の貧窮振りは、社会批判があったのかも知れぬ。閑話休題。その諍いを止めたのが、和尚吉三である。何れも掛け合いが実に面白い。その面白さと同時に、白浪者達の兄妹杯は、血で行われる。その場に酒が無かったからそうなったのか、兄妹杯の習わしとしてそうなのかを自分は知らないが。何れにせよ、互いの腕を切って流した血を瓦筍に注いで、血を飲み干した後の瓦筍は叩きつけて割る。悪党共の所作がカッコいい。学生さん達の学んで来た内実が見えるようであった為か、実に面白く拝見した。