山笑う 公演情報 僕たちが好きだった川村紗也「山笑う」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    川村紗也が松本哲也と組んで宮崎弁演劇に挑戦/約90分
    ちょっぴりワケありな家庭が舞台の一幕劇。

    骨子だけを取り出すならば話はかなり王道的で、まかり間違えば凡作に終わっていた可能性も。

    しかし、作・演出を手がけたのは小松台東の松本哲也。
    実家に不義理していた妹が男連れで帰省して兄と揉めるという、どこにでもありそうでなおかつ苦い話を、ちょいちょい入るおマヌケな脱線トークとドタバタ騒ぎでショーアップし、とても面白く見せきる。

    松本作品は少なからず観ているが、一、二を争う傑作。

    主宰兼主役のあの人が可愛いのはもちろん、荻野友里という青年団所属の女優さんがまた絶世の美女ときて、男性満足度の高い一作でもあります。

    なお、会話がほぼ宮崎弁でなされる松本作品ゆえ、津軽弁劇団・野の上を率いる山田百次もキャストの一人として宮崎弁でお芝居。
    津軽訛りが入った独特の宮崎弁は聴きモノ。

    ネタバレBOX

    宮崎から上京後ほぼ音信を絶っていた妹が、母の通夜に出るため久々に、しかも10コ上の兄と同い年の婚約者を連れて実家に戻る。

    これに怒った兄・伸夫と妹・菜々が和解するまでの話。

    母に溺愛されていた伸夫と、兄びいきの母を憎んでいた菜々の間の溝はなかなか埋まらないが、修羅場を覚悟して帰ってきた菜々に優しく接する兄嫁、赤ちゃんの頃から菜々を可愛がっていた兄の親友・英二らが兄を懸命になだめにかかり、兄妹は最後の最後に仲直り。

    二人きりで話し合っても果たされなかったに違いない兄妹の和解が、周囲の人々の協力によってなんとかかなうところに人間ドラマとしての醍醐味があり、私は大いに引きつけられた。

    そしてまた終幕がいい。

    兄との雪解けが成ったあと部屋に一人きりになった菜々は、憑き物が落ちたかのような清々しい表情で自分のために茶を淹れる。

    これだけでもジ~ンとくるのに、なんと菜々は、“お茶が美味しくなるおまじない”として母が生前やっていた、掌で茶碗に蓋をするような仕草を晴れやかな笑顔でひとりやってのけるのだ。

    それまでの話を通じて母との確執を知らされていただけに、これには感動!

    一人芝居で劇を締めるのはハンパない緊張が伴うはずだが、菜々役の川村紗也はこれを立派にやりこなしていて、お見事。

    この素晴らしいラストシーンあっての5つ星です。

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    2014/12/20 23:54

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