そのときのはなし 公演情報 おちないリンゴ「そのときのはなし」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    対峙するのは、永遠
     残る作品(人の心に、歴史に)を、と結成された女性作家4人によるシナリオを”おちないリンゴ”が舞台化。表現する者、即ちアーティストが対峙するのは、永遠である。その意味でこの4人の作家の姿勢を正当なものだと評価する。無論、そのような作家たちの作品を舞台化した「おちないリンゴ」も評価する。それは、同じ表現する者として、現在、評論を担当する評論者が言うのだ。そして、評論の仕事は判断することである。(追記後送)

    ネタバレBOX

    「そのときのはなし」おちないリンゴ 2014.11.14 14時~楽園
     1,4の短編で2,3の中編を挟みこんだ構成。因みに1は、黒川 陽子作の「アップルパイな人々」言の葉を分節化した上で、大抵は述語部分を脱臼させる。方言に置き換え、わざと間違えた音便化をしてみる。その表現に対しては、標準語で答えたり、それを受けた科白は、また別の方言を茶化してみたり、音だけ似せて、意味はシチュエイションで解るようにして別の脱臼をさせたり、残念ながら、この傑作を遅刻して途中から拝見したのだが、作家の言語センスに痺れた。手の込んだ言葉遊びにカラッと笑える。ルイスキャロルの笑いに似た頗るつきに優れた笑いである。
    2作目、3作目は中編だ。取り敢えず、2作目「女2」坂本 鈴作である。
     企業で事務をしている29歳のOLの話。彼、中村と同棲している。付き合い始めて8年。3年目、5年目、7年目の危機を乗り越えてきているわけだが、彼女には、社内に憧れの君、吉田が居る。吉田は弁護士を目指しており、感じも良ければマスクも良い。タッパもある。所謂、高学歴で背が高くハンサムで性格が良い。女性にもてる要素を総て具えた男である。当然、モテル。だが、彼女にした所で、事務のベテランで薹が立つとはいえ、中村というアンパイを持ち、趣味で書いていると言い募る小説には中々の才を見せている。そんな彼女が、プロを目指す者も多い社内の同人誌に誘われ、合評会にも参加したりしながら、吉田との恋愛を夢想しつつ、同時にあわよくば作家への夢も実現したい、と夢を夢見るわけだが、一方、中村は親から結婚をせっつかれ、今迄の経緯から、彼女との結婚を自然に考えてもいる。唯、中村は普通の男で、彼女はエキサイトしない。彼女は、自分に心地よい夢想に浸っていたかったが、吉田は司法試験に合格、会社は辞メルことになり、彼女も居て近いうちに結婚する。夢破れた彼女は、送別会にも出ないつもりだ。同人誌に掲載されるかも知れなかった作品も今回は見送られた。才能が無かったからではないのだが、そのことは、彼女に筆を折らせた。夢想を投げ出し、総てを冷静に眺めて彼女は中村との結婚を幸せなものだと納得し、送別会へも出掛ける決意をする。

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    2014/11/16 00:57

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