崩壊の足音が、這い寄ってくる時代
スパイは、何者なのだろう。
1980年代前半のユーゴスラビア。チトーの死後、台頭してくる民族主義と行き詰まる経済。
連邦を構成する共和国や自治州たちは、各々が独立さえも可能なほどの強い権限を持ち、互いを牽制し合っていた時代。
それでも、チトーの目指した「兄弟愛と統一」の理想のもと、84年のサラエボ五輪を開こうと、西側とも東側とも友好な関係を持ちえた時代。
言い換えれば、スパイの正体は何物でもあり得る。
過激な民族主義者の一派かもしれないし、民主化・自由経済化を求める活動家もしれない。どこかの分離独立派かもしれないし、西や東の諜報員の可能性もある。
この後10年もたたずに、さらなる悲劇が訪れることを知っているだけに、スパイの正体が、とっても気になります。
あとは、この時代の東欧の文化や生活感も見ることが出来たら、うれしいです。